隣の人のことがちょっと分かるかもしれない話~聞こえ方~
最近のアイギスブログは声やことば、話し方など聴覚刺激に関するトピックが多いので、今回の『隣の人のことがちょっと分かるかもしれない話』シリーズ(アイギス内ではちょっと好評です)は、聞こえ方について取り上げたいと思います。
皆さんご存知の通り、音に対する感覚は聴覚です。聴覚は動物によって異なり、ヒトは約20~20,000Hz、犬やこうもりは数万ヘルツの音(超音波)を聞くことができます。
音を感じるのが聴覚器です。聴覚器は外耳、中耳、内耳に区分できます。
外耳から入った音は、鼓膜を振動させます。この振動は3つの骨へと伝えられますが、これら3つの耳骨の構造と鼓膜、3つのうちの1つであるアブミ骨の面積比で、音圧が約22倍に増幅されます。この音圧の増幅によって アブミ骨に伝達された音は蝸牛(うずまきのようなところ。)の中のリンパ液中を伝達し、音の受容器に伝えられます。
さて、私が今回お伝えしたいのは耳の構造ではなく、人による音の聞こえ方の「差異」のお話です。
今は落ち着きましたが、先日まで地震が頻発していたように思います。地震があったときに誰かとこんな会話をしませんか。
「この前地震があったよね。結構揺れたね~」
「え、そうなの?全然わからなかったなあ」
揺れを大きく感じる建物や場所と、さほど感じない建物や場所がある。人による聞こえ方の差異もこれと同じです。
前述した通り、音は鼓膜の振動が骨によって増幅され、受容体に伝えられます。この受容体の感度によって、その人が感じる音の大小や、快、不快が変わってきます。一人ひとり顔が違うように、感度も一人ひとり異なるのです。
こんな場面を見たことはありませんか。
多くの人の話し声がする場所で、耳を手で塞いでいたり、ヘッドホンのような物を着けている人。
地下鉄の中で何度も咳払いをしたり、短くて大きい声を出す人。
何度も何度も説明しているのに、ちっともわかってくれない人。
3つは全て、あなたと音の聞こえ方や耳に感じる圧力、音から情報を処理する能力(詳細は4月を迎える前に|その他|事故・トラブル最前線 (aigis2009.co.jp)をご覧ください)が違うから、起きている事象かもしれません。(ヘッドホンと同じ見た目の『イヤーマフ』という音を遮断するツールがあります。)
千差万別、十人十色。人は個々で異なることを表す言葉はたくさんありますが、「知らない」ことによってその「差」が見えず、他者に歩み寄る機会を遠ざけている場合があります。
あなたと隣の人が聞こえている音、声は同じでないかもしれません。
「みんなちがって みんないい」私の好きなことばです。