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事件

認可外保育園で"虐待行為"県が改善勧告

認可外保育園で

 香川県善通寺市の認可外の保育園で、園児の体を踏みつけるなどの「虐待行為」が繰り返されていたとして、香川県が改善勧告を行った。

 改善勧告を受けたのは、善通寺市内の認可外保育施設。去年夏ごろから、50代の女性園長が、0歳から4歳までの複数の園児にうつ伏せ寝をさせている、体を踏みつけているなどの通報が複数の関係者から香川県に寄せられた。香川県が立ち入り検査などを行い、今年2月10日に「虐待」があったとして、香川県内で初めとなる改善勧告を行った。

 しかし、その後も同様の行為がされているという通報が入ったため、立ち入り検査を行い、改善が見られなかったことから6日、2回目の改善勧告を行った。

 テレビ局のインタビューに園長は、「(Q:大きな虐待はなかった?)そうです。ないです。県から受けた指導はきっちり見直して、改善できるところは改善したい」と答えている。

 今年2月に12人いた園児は5日現在8人で、園長以外に保育士など2人が勤務していたという。香川県は来月8日までに改善勧告を報告するよう求めていて、改善されない場合、施設閉鎖命令などの措置が検討されるという。(2016年7月6日 日本テレビ系)

 毎年、保育現場の事故事例をまとめて見ると、その年の特徴的な事故事例(顔みたいなもの)が見えてきます。今年はちょうど半年終わったところなのですが、すでにはっきりと見えています。今年の保育現場で起きた事故の顔は、保育園内の保育士による園児に対する虐待事件です。

 今回取り上げた香川の事例も虐待です。すでに県から改善勧告も2回出ています。それにも関わらず、園長は「改善できるものは改善する」という意味不明な回答をしています。改善勧告とは、勧告を受けた項目すべてを与えられた期限内に改善しなければならないものです。万が一、期限内に改善できなければ、施設閉鎖命令などが下されます。そういう意味では、この施設は園長が意味を理解していないため、改善することはないでしょう。

 園長が改善勧告を受けても事態を改善せずに、施設がつぶされてしまうのは、自業自得なので仕方ないと思いますが、問題は改善勧告を受けた施設に預け続けなければならない保護者がいるということです。おそらく、このまま自分の子どもを預け続けるのは不安だし、怖いと思いますが、預け先が近くにないため、預けざるを得ないという状況なのでしょう。

 基本的に保育行政は、保護者が子どもをどこに預けることになっても最低限の質は保証しなければなりません。その中でも特に安全は絶対に最低限の基準はクリアしなければならないものでしょう。それが、認可と認可外には安全面で明確な差があります(死亡事故件数の統計を見れば一目瞭然です)し、認可保育園の中でも安全面に力を入れているところと、入れていないところがあります。

 ようやく6月20日に内閣府のHPに掲載された監査指針の中に安全に関するものも監査しなければならないということになりました。なるべく早く、この内容が地方行政まで浸透し、実施され、安全のレベルが均一化されることを願っております。

2016.07.09