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事件

社福施設、防犯徹底と警察との協力を-厚労省、相模原での事件受け事務連絡

社福施設、防犯徹底と警察との協力を-厚労省、相模原での事件受け事務連絡

 厚生労働省は26日、神奈川県相模原市の障害者支援施設で入所者多数が殺傷された事件を受け、社会福祉施設などにおける防犯措置の徹底や警察との連携強化を求める事務連絡を都道府県などにあてて発出した。

 事務連絡では、入所者の安全を確保するため、施設に対し、日中・夜間にかかわらず、防犯体制や緊急時の対応体制を適切に構築することを求めており、特に夜間については「施錠などの防犯措置を徹底すること」としている。

 また、有事の際に迅速に通報できるようにするため、日ごろから警察などの関係機関との協力・連携体制の構築に努める必要性も指摘。さらに地域住民の協力を得て防犯体制を強化するために、入所者らの家族やボランティア、地域住民などとの連携体制の強化に努めることも求めている。(2016年7月27日 医療介護CBニュース)

 大きな事件や事故が起きると必ず各省庁から関係各所に通達が出されます。ここでの問題は2つ。1つは、事件や事故の後に通達は出るということ。もう1つは、通達の内容が現場まで届き、実行しているかということ。です。

 不審者対策は、そもそも危機管理上の要素の1つとしては、メジャーなものでした。しかし、その対策は昼間に野球帽とサングラスをかけた不審者が衝動的に乗り込んで来て、それを職員がサスマタ等で撃退するというのが一般的なものだったと思います。

 今回の犯行は、真夜中に元職員が計画的に侵入し、次々と利用者に危害を加えるというものでした。これは、一般的な想定からは大きくかけ離れたものだと思います。

 事故や事件の想定にもっとも必要なものはリアリティだと思います。私どもの会社が考える不審者対応・対策の基本的な考え方をお教えいたします。

対策1.不審者は施設内に入れないことが基本

対応1.不審者が施設内に入ってきたときは、1秒でも早く警察に出動要請する。

対応2.利用者と職員はできるだけ逃げる。

対応3.職員が不審者に対峙するときは、警察が来るまでの時間、利用者が逃げるまでの時間を稼ぐためのものとして位置づけ、不審者の確保が目的にしない。

 以上ですが、特に対策としての不審者を施設内に入れないためには、不審者情報をできるだけ早く手に入れ、施設に入れないような対策を講じることです。そのためには、地域の方々との連携も必要になります。

 前代未聞の不審者事件が発生いたしました。社会福祉施設に不審者が殺害目的で入って来たら、他の施設に比べて被害は大きくなります。この機会に不審者対策を見直してください。

2016.07.29