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事件

保育園がらみの虐待事件

保育園がらみの虐待事件

<事例1>死亡の3歳児 1週間前から保育所休む

 堺市で両親が3歳の長男を監禁し、その後、死亡した事件で、長男は事件の1週間前から保育所を休んでいたことがわかった。

 長男の体には複数の傷があり、警察は、両親が虐待の発覚を免れようとした可能性があるとみている。

 堺市内の夫で容疑者(32)と妻の容疑者(23)は自宅の浴室に長男(当時3)を監禁した疑いが持たれていて、男児はその後死亡した。

 捜査関係者によると、病院搬送時、男児の体には新しい傷が10ヶ所以上あったが、男児は事件の1週間前から保育所を休んでいて、2人が虐待の発覚を免れようとした可能性がある。

 MBSの取材に対し2人は、男児が入浴中に溺れたと話していたが、男児の死因は溺死ではなく、警察は死亡の経緯についても調べている。(2016年7月29日 毎日放送)

<事例2>熱中症か、車で男児死亡 父親「忘れていた」 栃木県警

 29日午後5時10分ごろ、栃木県内の駐車場に止めた軽自動車の中で、男児(2)がぐったりしているのを父親が見つけ119番した。

 男児は死亡しており、県警真岡署は遺体の状況から熱中症が原因とみて調べている。

 同署によると、男児は後部座席のチャイルドシートに座った状態で見つかった。車はエンジンを切り、窓を閉め切った状態だった。

 父親は同日朝、保育園に送るため男児を乗せ、宇都宮市の自宅を出発。職場に着いた後、妻からの電話で午後5時すぎに駐車場に戻り、男児に気付いたという。「車に乗せたことを忘れていた」と説明しており、同署は遺体を司法解剖して詳しい死因を調べる。父親は毎朝、出勤途中に男児を保育園に送っていたという。

 宇都宮地方気象台によると、現場に近い真岡市の29日の最高気温は32.7度だった。(2016年7月29日 時事通信)

 今回の事例は、どちらも保護者が原因で園児が死亡した事例です。2件目の事例は、事件か事故かはわかりませんが、子どもの死亡に父親が関係していることは確かです。

 保育施設側から、事例のようなことを防ぐためにはどのようにすればいいのでしょうか。

 ものごとには、"正常"と"異常"の状態があります。登園するべき園児が登園しない。何日も連続で園児が休んでいる。という状態は異常です。決まった時間に園児が登園するという状態が正常です。それ以外の状態はすべて異常なのです。異常な状態には、何らかの原因があると考えられます。

 結果論ですが、園児が1週間休んだのは、両親に監禁されていて登園したくてもできなかった。というのが事実ですし、登園時刻になっても園児が来ないのは、父親が車内に置き忘れていた。というのが事実です。

 こういった状態が発生するたびに、原因を追究するのは、保育施設では不可能でしょう。しかしながら、そのような状態にも対応できていれば、園児は死亡せずに済んだかもしれません。そこまで社会が複雑化しているということでしょう。保育施設でもいろいろな虐待の事例を知り、園児の命を守るためにも、できる限りの対応は準備しておいた良いのではないでしょうか。

2016.08.26