事故・トラブル最前線

事故・トラブル最前線これからの時代の園経営や
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事件

「信用」の価値は?

「信用」の価値は?

夢工房の運営費不正流用 前理事長ら相手に賠償求め提訴

 全国で保育園を運営する社会福祉法人「夢工房」(芦屋市)の運営費不正流用問題で、法人は27日、前理事長(59)と理事だった妻(55)を相手取り、計約1億7700万円の損害賠償を求める訴えを神戸地裁に起こした。

 訴状などによると、2人は2007~16年度、法人が運営する学習塾の利益などを着服したり、勤務実態のない親族に給与を支払ったりして、法人に損害を与えたと主張している。

 この問題を巡っては今年9月、法人が2人を詐欺や業務上横領の疑いで県警に告訴・告発。法人に補助金を支給していた姫路市も2人を詐欺容疑で告訴し、受理されている。

 法人の理事長らが27日、県庁で記者会見を行い「刑事上だけでなく、民事上の責任も追及されることを求める」などと話した。(2017年12月28日 毎日新聞)

 事故や事件、トラブルが起きたときには、いろいろなものを失います。命、時間、お金などさまざまですが、施設側にとって最も深刻なものは、「信用」です。それらのものを失わないために行うのが、危機管理(リスクマネジメント)です。

 しかしながら、保育業界に関わらず、危機管理にお金も時間もあまりかけていません。それは、いざというときに失うものが具体的にイメージできていないからです。もう少し厳密に言うと、失うことすらイメージしている方が少ないといえます。

 私は事故や事件、トラブルが起きた後の対応をアドバイスするという仕事を15年しています。自分の仕事を自分で否定するようでおかしな感じがしますが、事故後の対応はすべてムダだと思います。ムダなお金、ムダな時間、ムダな傷心など、すべてがムダです。

 そもそも人間は学習できる動物です。事故防止のために学習すべき前例も今はインターネットがありますので、すぐに調べることができます。つまり、ムダを回避するために学習し、危機管理を実行していれば問題が生じる可能性を低くすることができるのです。

 事故や事件、トラブルが発生した現場では、取り返しがつかないものも失います。園児の命や法人の信用などです。今回の事例では、法人の創設者が信用を失い、裁判で金銭的な賠償も求められています。

 「後悔先に立たず」ということを念頭において、今年は危機管理に重点を置き、時間とお金をかけることをお勧めいたします。

2018.01.12