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事故

第三者委員会の運営について

第三者委員会の運営について

 京都市上京区の保育園で2014年夏、プールで遊んでいた男児(当時4)が死亡した事故で、父親らが4月8日、京都市が事故原因究明などのため設置する方針を示している第三者調査委員会について、設置方針が決まった経緯や調査内容などを尋ねる申し入れ書を市に提出した。

 市は昨年5月に第三者委の設置方針を示したが、これまで実現していない。申し入れ書では、設置に向けた具体的な行動や意思、進展がないとして「事実に対して目を背け、風化させようとしているのでしょうか」と批判している。

 この日、父親らが中央区の市監査適正給付推進課を訪れ、担当者に申し入れ書を手渡した。父親は「京都市がこの1年間、受け身の態勢できたことに不信感と憤りを感じている。時間を置けば置くほど調査は難航する」と訴えた。提出後、同課の担当課長は取材に「申し入れ所の内容を検討して期限までに回答したい」と話した。

(京都新聞 4月9日)

 事故発生後の第三者調査委員会の設置には、難しいポイントがいくつかあります。

 1.調査委員会を設置しても事故の原因が判明するとは限らないということ。

 2.委員会の設置者が誰を委員にして良いのかわからないということ。

 私も調査委員会のメンバーを務めたことがありますが、事実は判明しても、真実は判明いたしません。さらに、事故調査のノウハウも確立しておらず、専門家の数も多くはありません。このような状況下で少しでも意味のある事故調査を進めるためには、事故発生からなるべく早く(できれば1週間以内に)委員会を設置することが肝心です。そのためには、いつ事故が発生したとしても第三者調査委員会が組織できるような準備をしておかなければならないと思います。

2016.04.09