事故・トラブル最前線

事故・トラブル最前線これからの時代の園経営や
危機管理の在り方を専門家が語る

事故

認可外保育施設で死亡事故相次ぐ

認可外保育施設で死亡事故相次ぐ

 大阪市淀川区の認可外保育園で今月4日、1歳の男児が心肺停止の状態になり、その後死亡していたことがわかった。昼寝中にうつぶせになり窒息したとみられ、大阪府警淀川署は保育園の関係者から事情を聴くなどして、当時の詳しい状況を調べている。

 市によると男児は4日午後2時40分ごろから保育室の布団で昼寝を始めた。午後3時半ごろ、うつぶせで呼吸をしていないことに保育士が気づき、119番通報。電話で指示を受けながら心臓マッサージをしたが回復せず、搬送先の病院で死亡が確認された。

 市や運営会社によると、当時、保育室には男児を含む1~3歳児の11人がおり、保育士と職員の計2人が勤務。男児だけが昼寝をし、他の園児は同じ部屋でおやつを食べていたという。(毎日新聞 4月12日)

 東京都は12日、中央区にある認可外保育施設で3月、うつぶせで寝ていた1歳2カ月の男児が死亡していたことを明らかにした。都は、立ち入り調査の結果、安全対策が不十分だったとして、運営会社に改善策を示すよう文書で指導した。

 施設は、7つの企業が従業員向けに共同で設置した事業所内保育施設。都によると、3月11日午後2時ごろ男児が呼吸をしていないのを施設職員が発見。その後、救急搬送先の病院で死亡が確認された。男児は昼寝時間に泣くという理由で、他の子どもとは別の部屋に移され、約2時間半にわたってうつぶせ状態で寝かされていたという。

 当時、施設には子ども20人に対して、保育士4人を含む職員6人が勤務しており、都の認可外保育施設の基準は満たしていた。(時事通信 4月12日)

 保育施設の死亡事故で最も多い時間帯は子どもが寝ているときです。子どもが寝ているときに発生する死亡事故は大きく分けて3種類あります。多い順に原因不明、うつぶせによる窒息死、SIDS(乳幼児突然死症候群)です。この中で職員の努力によって予防できるものは、うつぶせによる窒息死しかありません。

 上記の2つの事故は、どちらもうつぶせの状態で発見されています。これは、現場の職員が子どもを放置した結果、うつぶせの状態が継続したか、うつぶせの状態に気づいていたが、それを仰向けに修正しなかったかのどちらかだと考えられます。

 このようなことになった原因として考えられるのは、現場の職員の事故に対する知識不足です。現在の保育現場で子どもをうつぶせに寝かせることは、危機管理の観点からも禁止事項といっても過言ではないくらいのタブーです。しかしながら、その情報が保育現場の隅々まで周知徹底することができていないのが現状です。

 「安全は事故から抽出される」という基本に忠実になることが必要不可欠だと思います。

2016.04.21