事故・トラブル最前線

事故・トラブル最前線これからの時代の園経営や
危機管理の在り方を専門家が語る

事故

睡眠中の死亡事故関連ニュース 2件

睡眠中の死亡事故関連ニュース 2件

〇認可外保育施設で女児死亡 東京都が改善勧告

 今年3月、東京・大田区にある認可外の保育施設で寝ていた生後6カ月の女の子が職員が部屋を離れた際に具合が悪くなり、その後、死亡する事故があり、東京都は、保育士が1人で勤務している時間があるなど、都の基準を満たしていない運営が行われていたとして、施設に対し改善勧告をした。

 施設は24時間運営していて、当時は死亡した女の子も含めて0歳から3歳までの5人の子どもが預けられ、2人の職員で対応していたが、1人は別室で休んでいて、もう1人がミルクを作るために、10分程度部屋を離れて戻ってきたところ、女の子の具合が悪くなっていたという。

 施設側は都に対し、「女の子はあおむけに寝かせていた」と説明しているということで、都は引き続き、事故の原因などを調べることにしている。(2016年7月12日 NHK NEWS WEB)

〇保育施設側の賠償確定 仙台高裁 郡山の女児うつぶせ寝死亡

 郡山市の認可外保育施設で2010年1月、女児(当時1歳)がうつぶせ寝で放置され死亡したとして、両親が損害賠償を求めた訴訟で、最高裁第1小法廷は11日までに、施設側の上告を受理しない決定をした。7日付。施設側に重大な過失があったと認め、計約5770万円の支払いを命じた二審・仙台高裁判決が確定した。

 確定判決によると、女児は施設内でうつぶせに寝かされてバスタオルや四つ折りにした大人用の毛布を全身を覆うように掛けられ、約40分間放置されて窒息死した。(2016年7月12日 福島民友新聞)

 上記の事例は、1つは死亡事故に対する都の改善勧告について、もう1つは最高裁の判例です。睡眠中の死亡事故は相変わらず発生しており、裁判でもうつぶせ寝については施設側の敗訴判決が出るのが当たり前になっています。

 なぜ、当たり前のように施設側が敗訴になるのでしょうか。それは、予防可能だからです。2つの事例にも職員が保育室から離れ、園児だけの時間を作っているという共通点があります。保育室に園児だけの時間帯を作るということは、職員が園児を見守ることができない時間帯を作るということです。このような状況下では、どのような事故が起きたとしても言い訳はできません。

 園児が寝ているときの死亡事故予防対応は、施していることが当たり前です。当たり前のことを当たり前にすることには難しさがあります。保育施設の危機管理は、難しいことや複雑なこと、煩雑なことをする必要はありません。単純なことを確実に実行することこそが最重要項目です。

2016.07.15