事故・トラブル最前線

事故・トラブル最前線これからの時代の園経営や
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事故

今年も同じような事故が起きています

今年も同じような事故が起きています

こども園プールで溺れたか、5歳女児が意識不明

 栃木県那須塩原市の私立の認定こども園で今月11日、園のプールで水遊びをしていた年長の女児(5)が意識不明の状態で、うつぶせになって浮かんでいるのが発見され、病院に搬送されていたことがわかった。女児は21日現在、意識不明のままという。おぼれた可能性があり、市は弁護士や保育の専門家らの検証委員会を設置し、原因を調べる方針。

 市や園によると、プールは縦9.5メートル、横5.5メートルで、水深は最大66センチ。女児の身長は110センチだった。11日午後1時から2人の保育教諭が監視するなか、33人の園児が遊び始めて数分後に、女児が浮かんでいるのが見つかったという。

 男性園長(50)は朝日新聞の取材に「責任を感じる。早く意識が回復するよう祈り、再発防止策を進めたい」と話した。(2016年7月21日 朝日新聞デジタル)

 今年もまた同じような重大事故がプールで起きました。検証委員会の検証結果を待たなくても保育教諭の監視体制にミスがあったのが事故原因だと考えられます。そして、その状況を招いたのは保育教諭に対する安全教育が不十分であり、事故当日、プール遊びを担当した保育教諭の頭の中に「自分たちが目を離したら園児が死亡する可能性がある」ということが入っていないまま監視に当たったということが直接的な原因です。

 さらに別件では、施設長の責任も追及されつつあります。

幼児プール事故死、園長の「不起訴不当」 京都第2検察審査会

 京都市上京区の保育園で2014年夏、プール活動をしていた男児(当時4歳)が死亡した事故を巡り、両親が業務上過失致死容疑で告訴し、京都地検が不起訴処分(嫌疑不十分)にした当時の園長ら4人について、京都第2検察審査会は21日までに、「不起訴不当」と議決した。15日付。

 議決書によると、当時の園長らは、プール事故を防止する注意義務を怠り、2014年7月30日午後2時ごろ、被害男児の水没に気付かず、8月6日に低酸素脳症で死亡させた疑いがある。

 地検の不起訴記録などを調査した検察審査会は「溺水、ウイルス感染による急性脳症など、死因は断定されていない。しかし遺体からウイルスが発見されたとの話はなく、溺水以外とは推測しがたい」と、地検に再検討を求めた。

 京都地検の次席検事は「議決の内容を精査し、適切に対応したい」とコメントした。

 また両親ら遺族は21日、同園を運営する社会福祉法人に約4200万円の損害賠償を求め、京都地検に提訴した。訴状によると、保育士2人は数分間プールから離れるなど不十分な監視だったとし、同会に使用者責任があると指摘した。(2016年7月21日 京都新聞)

 プール事故は監視体制をしっかり整備していれば予防可能なものです。そして、そのことに対する責任追及は年々、厳しくなってきています。プール事故に関する施設長の責任は、2011年7月に東大和市で起きた園児死亡事故では、施設長が起訴され刑事裁判が行われましたが、無罪判決が言い渡されました。

 京都の事例では、検察審査会に両親が働きかけ、不起訴不当の判断が出ました。そして、同日、法人に対する民事責任の追及も始めています。

 これを機会にプールの監視体制を見直してください。

2016.07.22