事故・トラブル最前線

事故・トラブル最前線これからの時代の園経営や
危機管理の在り方を専門家が語る

事故

2歳男児車内に置き去りにされ死亡

2歳男児車内に置き去りにされ死亡

 29日午後5時10分ごろ、栃木県芳賀町芳賀台の駐車場で、止めてあった軽乗用車内で男児(2)がぐったりしているのを近くの会社に 勤める30代の父親が見つけ、119番した。

 県警真岡署などによると、男児は心肺停止状態で、死亡が確認された。 目立った外傷はなく熱中症の可能性もあるとみて調べている。  

 同署などによると、宇都宮市から通っていた父親が同日朝、保育園に送るため、後部座席のチャイルドシートに男児を座らせたが、 降ろすのを忘れたまま出勤。男児は午前9時ごろから約8時間、置き去りになったとみられ、父親は午後5時過ぎに妻からの電話で気づいた。この日、隣接する同県真岡市は午後3時ごろ、32.7度を記録していた。(2016年7月30日毎日新聞)  

 事故というものは、いくつかの要因が重なり合って起こります。何かが変わっていれば起きなかった事故もたくさんあります。 その一つが今回不運にもまた起こってしまった「ついうっかり忘れてしまって車内に子どもを放置して死なせてしまう」という事故です 。同様の事故は過去にも起こっています。

 2010年6月3日午後4時20分頃、長崎県諫早市の保育園前の路上で、9か月の男児が乗用車の中でぐったりしているのを祖父が見つけた。男児はドクターヘリで病院に搬送されたが、その後死亡が確認された。

 その日は、祖父が男児と姉2歳の孫2人をそれぞれ後部座席のチャイルドシートに座らせ、保育園に送った。 同日夕、車で迎えに行ったところ、男児が保育園にいなかったため、車内を確認。チャイルドシートに座ってぐったりしている男児を発見。その日の最高気温は27.5度。  

 今回の事故で誰しもが、保育園に送ろうとしていた子どもの存在を忘れて車内に置き去りにすることなんてあるのかな?と思われたかもしれませんが、忘れることはあるのです。 9年前には、保育園の車で園外保育に出かけた帰りに車内にいた1人の男児を保育士が誤って車内に置き去りにし、死亡させるという 事故も起こっています。

 今回の事故と6年前の事故とも保育園に子ども、孫を送ろうとして忘れてしまったという共通点があります。そして発見されたときの状況も同じで、保育園にお迎えに行ったときに子ども、孫がいなかったということでした。

 同事故とも疑問が残ります。「保育園は、欠席連絡がなかった園児の家庭に確認電話はしないのだろうか」と。

 何十人もの園児が通っている保育園で確認電話をするということは大変なことかもしれません、ですが、同事故とも保育園側が ○○くん今日はお休みですか?と電話をしていたら、車内に置き去りにされていた子どもの発見が早く、ひょっとしたら命までは 落とさなかったかもしれません。

 勘違いしないでいただきたいのは、同事故とも保育園側にも責任があると言いたいわけではありません、 過去に同様の事故が起きている以上、保育関係者はこのような事故も起きるのだと認識し、保護者に注意喚起を呼びかけ、必要であれば 「今日は登園されていませんがお休みですか?」という電話連絡をいれたら子どもを助ける方法の一つになるのではないかと考えました。

2016.08.01