事故・トラブル最前線

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事故

また、うつぶせ寝による死亡事故です。

また、うつぶせ寝による死亡事故です。

うつぶせ寝、4カ月女児が死亡 茨城・高萩の乳児院

 茨城県高萩市の社会福祉法人が運営する乳児院で4月下旬、生後4カ月の女児が亡くなる事故があったことがわかった。乳児院によると、女児は発見当時、うつぶせ寝の状態だったという。

 女児は午前9時15分ごろに職員が寝かしつけ、その後は部屋の外から寝ている様子を確認していたという。施設の責任者は「このような事故が起きてしまい残念。反省している。寝返りを始めたばかりの赤ちゃんは特に危険だという認識を徹底し、職員がいる部屋に寝かせるなど、マニュアルを見直した」と話した。

 県は、県警が捜査中であることなどを理由に、公表していない。(2016年8月5日 朝日新聞デジタル)

 うつぶせによる死亡事故は、数少ない完全に近い予防ができる事故です。現場の職員がそばで意識を持って見ていて、園児がうつぶせになったら、仰向けにすればうつぶせによる死亡事故は発生いたしません。

 今回、事故が起きたのは社会福祉法人立の認可保育施設です。はっきり申し上げて、この程度の安全管理さえ徹底できていなかったのは、あきれるばかりですが、そういう点では、認可も認可外も安全に関しては同じレベルだということです。

 保育施設が安全か、安全ではないか、は事故が発生してからわかります。今回の事例でも施設責任者のコメントのように、自分の園で園児が死亡してから、「寝返りを始めたばかりの赤ちゃんは特に危険だという認識を徹底し、職員がいる部屋に寝かせるなど、マニュアルを見直した」としています。

 本来ならば、危機管理とは事故が起きる前に事故の発生確率を引き下げるためにやっておかなければならないことです。でも、現状は、事例のような状態の施設が全国各地には数多く存在すると考えられます。

 しかも、認可保育施設ということは定期監査を受けているはずなのに、行政はうつぶせ寝への対策すら徹底できていなかったのです。おそらく、監査の過程で0歳児が寝ているときの監視方法や状態に関する質問はしていたと考えられます(万が一、それすらしていないのであれば、今回の事故は行政のミスでもあります)が、当該施設は他の施設で同様のうつぶせ寝による死亡事故が起きているのにも関わらず、他人事だったのでしょう。

 このブログをお読みいただいている保育関係者のみなさまは、これを機会に自分の施設のうつぶせ寝対策を見直してください。園児を守るためにも、職員を守るためにも、お願いいたします。

2016.08.05