事故・トラブル最前線

事故・トラブル最前線これからの時代の園経営や
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事故

施設での園児のやけどの事故は日常的に起こっています。

施設での園児のやけどの事故は日常的に起こっています。

 4日午後1時40分頃、和歌山市の有料老人ホームで、「入所者が入浴中にやけどを負った」と119番があった。入所者の女性(97)は下半身をやけどしており、病院に運ばれたが、約9時間後に死亡した。和歌山東署は、施設側が湯の温度を誤ったとみて、業務上過失致死の疑いで調べている。発表などでは、女性は寝たきりに近い状態で、男性職員(37)がリフト式の設備で風呂に入れたところ、手足をばたつかせたため異変に気づいたという。施設側の説明では、湯温は42度に設定されていたが、事故後に測ったところ、48度だったという。機器が故障していたとみられる。介護者は素手で湯加減を確認することになっていたが、男性職員は「手をけがしていたので、手袋をして確認した」と話しているという。(2016年8月5日毎日新聞)

 保育園でこれまでに死には至ってないものの、園児がやけどをしてしまうという事故は後を絶ちません。保育室で休憩中の職員のコーヒーが園児にかかってやけどを負った、調乳室に園児が入り込み、ミルクを作ったあとの残り湯をそのままにしていたために誤って園児にかかってやけどを負ったということも起こっていますが、一番多い保育園での園児のやけどは、上記のような事例といっても過言ではありません。

 園児の沐浴時やお尻が汚れたときなどお湯を使うことになるでしょうが、その時の「お湯の温度を確認する」ということを怠ったがために園児にやけどを負わせてしまうという結果になってしまいます。お湯の温度を確認することなんて当たり前のことだと思われるかもしれませんが、意外に人は当たり前のことが当たり前のようにできないものです。

 ということは、当たり前だと思っていることから気を緩ませずに行うことが大切です。自分がシャワーを浴びるときやお風呂に入るときは、温度を確認すると思います。それは、温度が高かったら熱い思いをしてしまうからですよね。子どもたちは小さいからだで大人よりも弱い皮膚なのにも関わらず、突然熱湯をかけられ、「あつい、いたい」と言えない月齢であれば泣き叫ぶことしかできないと思います。

 当たり前のことであるお湯の温度の確認を怠ったがために、みなさんが大好きで大切に保育をしている園児さんに苦痛を強いるのはあまりにも可哀想なことだと思います。

 今回の老人ホームでのやけどの事故は、日常的に当たり前のことが当たり前にできていないことを見直していくという機会を与えてくれた事故なのではないかと思います。

2016.08.08