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被害者にも加害者にもなるリスクです

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女子大生を書類送検 スマホ電動自転車死亡事故

 スマートフォンなどを持ちながら電動アシスト自転車を運転し、歩行者の女性(77)をはねて死亡させたとして、神奈川県警は15日、川崎市内の女子大生(20)を重過失致死容疑で横浜地検川崎支部に書類送検した。

 同署は「ながら運転」による前方不注意を重大な過失と判断した。

 同署によると、女子大生は昨年12月7日午後、市道交差点で、左手にスマホ、右手に飲み物の入ったカップを持った状態で自転車を発進させ、約3メートル前を歩いていた女性をはねて死亡させた疑いが持たれている。乗っていたのは、スピードが出やすい電動自転車だった。(2018年2月15日 読売新聞)

 以前、私が保育士向けの研修会で、「歩きスマホが平気でできる保育士に、園児のお散歩などの引率は安全にはできない。保育士である以上、常日頃から歩いているときも周囲のリスクに気をつけて、歩く習慣を身につけるべきだ。」と話したことがありました。

 その研修を聞いていた1人の保育士さんが、後日、「あのときの研修の話を聞いて、脇さんは病んでるな。と思いました」と笑いながら、私に直接感想を言ってくださいました。

 そのときの話では、今どき、歩きスマホくらいするのが当たり前だし、それほど気をつけていなくても事故が発生することなんてそんなにないでしょ。それなのに、脇の話は大げさすぎる。という意味合いのものでした。

 私はその話を聞いて、それが研修の受けてのリアルな感情なのだろうと思い、それを直接ぶつけてくださった保育士の方に感謝いたしました。

 しかし、私の歩きスマホのリスクに対する考え方は変わっていません。それは、自分が歩きスマホをしていて、自分が傷つくのは仕方がないことだと思います。これを自己責任といいます。

 逆に自分が歩きスマホ(ながらスマホ)をしていて、事例のように他人を傷つけるのは、犯罪であり、それは社会が許してくれません。今回の事例の主人公は20の女子大生です。気軽にいつも通りのながらスマホをしていて、1人の人間を殺めてしまいました。彼女はこの消えない十字架を一生背負って生きていかなければならないのです。

 そろそろ新人が各保育施設に入ってくる季節です。新人研修には、必ず安全管理研修も少しは取り入れていただきたいと思います。その際にお願いしたいのは、大きなことはできなくてもいいから、何気ない習慣みたいなものに気を配れるようになるような研修を実施してください。

 他人に迷惑をかけるような習慣は、なるべく身につけないようにする。あるいは止めるようにする。人の役に立つような習慣は、なるべく早く習慣になるように、初めは意識して取り組む。ということが重要だと思います。

2018.02.23