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事故

未満児と以上児の死亡事故は根本的に異なる

未満児と以上児の死亡事故は根本的に異なる

墓石の下敷きになった4歳児の保育園児が死亡 長野

 2月19日、長野県高森町の墓地で墓石の下敷きになり、意識不明の重体で病院で手当を受けていた近くの保育園に通う4歳の男の子が、23日午後、死亡した。

 警察によると、墓石は、高さおよそ80センチ、幅およそ40センチ、長さ20センチの大きさで、土台の石は固定されていなかったという。被害にあった園児は当時、50人ほどの園児たちと一緒に保育園のそばにある広場で遊んでいたといい、保育士4人が引率をしていた。

 墓地は、この広場に隣接していて、警察や町の教育委員会によると、保育士らは当時、園児が広場を出て墓地に行ったことについて、「気付かなかった」と話しているという。

亀有の認可外保育で1歳男児が死亡

 東京都葛飾区亀有の認可外保育施設で、預けられていた1歳の男児が死亡していたことが、警視庁亀有署や都への取材で明らかになった。

 同署や都によると、1月27日未明、職員が動かなくなっている男児に気づき119番した。男児は病院に搬送されたが、その後死亡が確認された。死因は不明だという。

 男児の死亡を受け、都が立ち入り調査をしたところ、同施設では2人以上の職員を配置する必要があったにもかかわらず、当時は1人しかいなかった。同署は男児が死亡した経緯を調べている。(毎日新聞)

 保育業界には「未満児、以上児」という業界用語があります。これは、3歳未満か3歳以上かという区分けです。私は保育業界で仕事を始めた15年前には、理解できなかった専門用語です。

 この3歳が基準となる未満か、以上かというのは、事故の世界でも不思議な境界線になります。3歳未満と3歳以上の死亡事故では、事故の発生原因に決定的な差があります。

 それは、上記2つの事例を見ていただいても分かるのですが、3歳未満の死亡事故には「原因不明」という原因が存在するのに対して、3歳以上の死亡事故には現場の職員が犯した「決定的なミス」という原因が存在するということです。

 つまり、3歳以上児の死亡事故は予防しやすく、3歳未満児の死亡事故は予防策を施していても発生することがあるということです。

 今回の2つの事例では、事故の原因がはっきり異なると思います。長野の事故は予防可能性が高く、葛飾の事例は予防可能性が低かったということです。これは、責任面でも比例します。予防可能性が高い事故を発生させた場合は、責任が重くなり、予防可能性が低い事故は発生したとしても責任は軽くなる(ない場合もあります)ということです。

 保育施設の事故予防策は、3歳未満児と以上児は分けて考えなければ、効果的ではないということです。まもなく、新年度を迎えます。早めに事故予防策を見直し、実行していきましょう。

2018.03.23