問題は本質的な原因に対応しなければ解決しない
6カ月男児死亡「気づいたらうつぶせに」東京・練馬の認可外保育施設
東京都練馬区の認可外保育施設「若草ベビールーム」で生後6カ月の男児が死亡した事故で、職員が警視庁石神井署に対し、「ミルクを飲ませてあおむけで寝かせていたが、気づいたらうつぶせになっていた」などと説明していることが4日、捜査関係者への取材で分かった。事故を受け、都福祉保健局は同日、施設に対する緊急の立ち入り調査を実施した。(2018年10月4日 産経新聞)
この事故を受けて、ネットを中心とした報道では、「なぜ、ルールがあったのに・・・」や「なんども繰り返される・・・」という見出しが躍っていました。
しかしながら、それらの記事で問題の核心をついて、問題解決につながるような記事も識者の意見も見あたりませんでした。非常に残念なことです。
今回のブログでは、問題の本質に迫り、問題解決につながる方法を指摘したいと思います。それらの方法は的を射ていますが、おそらく実現不可能な方法ですので、あまり期待して読まないでください。
①保育事業に潤沢な資金が確保されていない。
どのような保育施設の運営でも、安全を確保するための経費(リスクコスト)は、計上されていません。認可保育施設の運営費ですら、この経費は含まれていないので、補助金の対象外となる認可外保育所の運営において安全が保証されている方が不自然なのです。ちなみに、保育士の配置基準においても安全を前提とした基準にはなっていません。つまり、安全が保証された保育事業にするためには、もっと資金を確保する必要があります。
②行政の管理・監督が機能していない。
今回のケースでもそうですが、死亡事故が起きてから、行政は立ち入り調査をします。もっとも、行政は、以前にも立ち入り調査はしました。改善点も指摘しました。だから、行政の監督は機能しているというロジックなのでしょうが、改善点を指摘したら、それが改善されたかどうかまで見届け、改善されていない場合は、施設を運営停止にすべきです。しかし、待機児童解消という錦の御旗の元、そこまではしないのが現状ですし、今後もそのようにはならないでしょう。
③情報公開がなされていない。
預ける側の自己責任で制度運営をするためには、情報開示が必要不可欠です。立ち入り調査の結果、改善点が見つかりました。現時点でその改善点はまだ改善されていないようです。というようなリアルタイムの情報を開示すべきです。これは、認可施設でも同様で、監査における安全に関する項目で、どのくらいの到達度だったのかを調査し、開示すべきです。しかしながら、そのような監査をしている行政もあまり目にしませんし、実行していたとしても、どこをチェックすれば安全性をチェックしたことになるのか。というノウハウを持った行政も存在しないのです。
以上、3点が、同じ事故が繰り返される原因です。しかし、これらの原因に対応することは、ほぼ無理でしょう。預かる側の施設が子どもの命を預かる責任をしっかりと自覚した上で、実行していかなければならないのだと思います。