新年度に向け保険をチェックしましょう!
川崎市の市立保育園の事故 1億8200万円の損害賠償支払いへ
2011年に川崎市の市立保育園で保育士が赤ちゃんを床に落として重い障害を負わせた事件を巡り、市がおよそ1億8200万円の損害賠償を支払う案が、8日、市議会の委員会で可決された。
この事件は、2011年4月、川崎市川崎区の市立保育園で職員の女性保育士が、当時生後7カ月の女の子を中腰でおんぶし直そうとしたところ、床に落としたもの。このことで現在この女の子は、両下肢体幹機能障害や視力障害などを負い、全面的に介護が必要な状態となっている。8日、開かれた川崎市議会の文教委員会で市が被害者側に損害賠償として1億8200万円を支払う案について全員一致で可決した。
川崎市は事故の後、再発防止策としておんぶに関するマニュアルを作り、0歳児をおんぶする場合は原則2人で行うことなどを周知している。委員会を受け、損害賠償の案は今月15日の本会議で採決される。(2019年3月8日 テレビ神奈川)
この事例は市立の保育園なので、市の予算から損害賠償金が支払われますが、私立の保育施設の場合、任意で保険制度に加入しなければなりません。
保育施設が加入する保険の種類は、大きく分けて2つあります。1つは、園児が園の管理下でケガをした場合に定額で保険金が支払われる傷害保険。もう1つは、園児が園の管理下でケガや後遺障害を負い、その法的責任が園にあった場合、上限額内で損害賠償金が保険金として支払われる(実損払い)損害賠償責任保険です。
事例が私立保育園で起きた場合、損害賠償責任保険で賠償するか、法人が賠償金を用意するかの話になります。ここで問題になってくるのが、賠償責任保険の上限額です。事例の場合は、1億8200万円なので、上限額がこの金額を上回った保険に入っていなければ、支払うことができないということになるでしょう。
ここで、私の経験から保育園の保険加入の実情について申し上げますと、おおむね損害賠償責任の上限額1億円というものに加入しています。この場合、事例と同じ事故が起きた場合、1億円は保険会社から、8200万円は、法人が用意して支払うことになります。
内部保留を大目に持っている法人であれば、8200万円の支払い余力は持っていると考えられますが、持っていなければ、即刻、園の運営に支障をきたすことになるでしょう。支払い余力を持っていたとしても。その内部留保は将来の園舎立替費用などにあてる目的のある積立金だと思いますので、いずれにしても園の運営に支障をきたします。
まもなく4月から新年度です。今、保険についても検討している時期だと思います。ぜひ、この機会に参考になさってください。