さいたま市プール事故裁判④
2017年さいたま市の保育施設のプールで園児の死亡事故が発生した刑事裁判の傍聴報告の第4回目です。
今回の事故で検察官が主張した、職員の過失(不注意)は、「園児の動静を見て速やかに救助する義務があったのに、すべり台の撤去をしていたこと」です。
今回の事故は、園児のプール活動を指導・監視していた2人の職員が、園児のプール活動中にプールに設置していたすべり台の撤去作業をしてしまい、誰も園児の様子を監視できない状況で起きてしまった事故です。
検察官は、園児のプール活動を指導・監視する職員が、すべり台の撤去作業をし、園児から目を離してしまったことを過失ととらえたわけです。
今回の事故で、プール活動の指導・監視をしていた職員は2人いましたが、不思議なことに起訴されているのは1人の職員だけです。
その答えは検察官のこの主張からわかります。「プールに一緒にいた職員は監視する義務にあたる任務についていなかった」。
つまり、起訴されていない職員は監視する業務についていなかったのに対して、起訴された職員は監視する業務についていたということです。プール活動を行う前に「○○先生、今日のプール活動では監視お願いね」と頼まれたか頼まれていないかの差だけで、一方の職員は起訴され、もう一方の職員は起訴されなかったわけです。
また、プール活動の指導・監視をしていた職員2人とは別にプールのすべり台の撤去作業を行うことを提案した職員もいましたが、この職員も起訴されておりません。
これらのことからわかることは、園児の監視を任された職員は、どこまでいっても園児から目を離してしまったことは自己責任であるということです。プール活動に限らず、日頃から職員の方は、園児から目を離さないように意識していると思います。また、そのように施設側も教育指導していると思いますが、自分が担当している園児から目を離してしまうことの責任を再確認してください。
次回のブログでは職員の過失についてさらに掘り下げていきます。