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事故

さいたま市プール事故裁判⑤

さいたま市プール事故裁判⑤

 2017年さいたま市の保育施設のプールで園児の死亡事故が発生した刑事裁判の傍聴報告の第5回目です。今回は前回に引き続いて職員の過失(不注意)について報告いたします。

 今回の事故で検察官が主張した、職員の過失は、「園児の動静を見て速やかに救助する義務があったのに、すべり台の撤去をしていたこと」です。

 検察官は元園長がガイドライン(教育・保育施設等における事故防止及び事故発生時の対応のためのガイドライン)に反したプール活動を行ったことを過失ととらえていることを以前のブログで解説いたしました。職員の過失についてもガイドラインの側面から見てみましょう。

ガイドラインの「プール活動・水遊びの際に注意すべきポイント」

① 監視者は監視に専念する。

② 監視エリア全域をくまなく監視する。

③ 動かない子どもや不自然な動きをしている子どもを見つける。

④ 規則的に目線を動かしながら監視する。

⑤ 十分な監視体制の確保ができない場合については、プール活動の中止も選択肢とする。

⑥ 時間的余裕をもってプール活動を行う。

 検察官が主張している職員の過失「園児の動静を見て速やかに救助する義務があったのに、すべり台の撤去をしていたこと」はガイドラインの②③④に反していたことを指摘していたということができます。つまり、検察官が主張する元園長と職員の過失はどちらもガイドラインに反していたこと、ということができるのです。

 それだけ重要なガイドラインであるにも関わらず事故を起こしてしまった園では、ガイドラインを職員の読める場所に置いておくのみで、職員に周知徹底することができていなかったことも検察官は指摘しています。

 また、検察官は、ガイドラインはさいたま市と厚生労働省から園に通知されていたということを主張し、園がガイドラインを知らなかった、という反論をする余地を与えませんでした。

 ガイドラインの重要性を認識する機会を園が職員に与えていれば、職員の事故当時の行動はかわっていたかもしれません。施設としてガイドラインを職員に周知することは職員を守るためには不可欠であるということを再度認識してください。

 次回は遺族の処罰感情について報告いたします。

2019.11.06