さいたま市プール事故裁判⑦
2017年さいたま市の保育施設のプールで園児の死亡事故が発生した刑事裁判の傍聴報告の第7回目です。今回は元園長と職員の弁護士の今後の弁護方針について報告いたします。
第1回目の裁判は、前回までのブログで報告したことを中心に検察官が一方的に訴訟活動を行いました。元園長・職員の弁護士は黙って検察官の主張を聞き入れて第1回目の裁判は終盤に差し掛かってきました。裁判が終盤に差し掛かると次回の裁判、つまり、第2回目の裁判の日程日時の調整をします。そして、今後の裁判がどのように展開していくのか、ある程度把握しておきたい裁判官は弁護士に今後の弁護方針を尋ねます。
今回の裁判官も元園長・職員の弁護士に今後の弁護方針を尋ねました。そうしたところ、弁護士は、証拠調べとして情状証人を裁判所に召喚することだけを申請しました。情状証人とは、刑事裁判で被告人の量刑を定めるにあたって酌むべき事情を述べるために公判廷に出廷する証人を言います。つまり、弁護士の今後の弁護方針は、検察官が主張していることは、何一つ間違いはないので何も争いません、ただ少しだけ刑罰を軽くしてもらえませんか?という完全に白旗をあげた弁護方針だということがこの事実からはわかるのです。
私はこの事実からみなさまにしっかりとお伝えしなければならないことがあります。みなさまは何かあったら弁護士が守ってくれると思っていると思います。弁護士は自分の真意を汲みとりあらゆる手段を使って自分を守ってくれると思っているのではないでしょうか?しかし、事実は今回の弁護士の今後の弁護方針からわかるとおり、白旗をあげるしかないのです。それは、弁護士が悪いわけではありません。当たり前にやるべきことをやっていない元園長や職員を守る方法はないのです。
事故が起きてからでは弁護士でもみなさまを守ることができません。やはり、事故が起きる以前、つまり、平時から当たり前にやるべきことを行っていることが自分を守るためには必要になるのです。
明日11月21日は今回の死亡事故の第2回公判期日です。この裁判は次回で結審(審理が終わること。訴訟の取調べを終えること)する予定です。新たに保育現場に還元するべきことはないか傍聴に行ってまいります。