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社会福祉法人改革と評議員会

社会福祉法人改革と評議員会

 社会福祉法人改革に関連し、厚生労働省は20日、全法人に必置の議決機関となった評議員会の評議員数の経過措置について、年間収益が一定額以下の法人に適用する考えを示した。委員からは「2億円以下」とする案が浮上し、これを軸に検討する。会計監査人の設置は一部の法人に絞り込んでスタートし、その後、段階的に広げる方針。平成29年4月の施行に向け、6月に結論を出す。

 評議員数は7人以上が原則だが、小規模法人については施行から3年間は4人以上とする経過措置がある。

 厚労省はその対象を「運営施設が1施設程度の法人」と説明してきたが、年間のサービス活動収益で線引きする考えに改めた。

 同日の社会保障審議会福祉部会で明らかにした。具体的な金額は示さなかったが、委員からは「年間2億円以下」とする案が浮上。この案であれば、全法人の半数が該当する。

 保育所のみの法人では84%、児童養護施設のみの法人では66%が該当する。(5月30日 福祉新聞)

 これまでの評議員会は、任意設置の諮問機関であり、理事・理事長に対する牽制機能が不十分でした。しかし、この社会福祉法人改革の施行とともに、評議員会を法人運営の基本ルール・体制の決定と事後的な監督を行う機関として位置づけ、必置の議決機関となります。

 評議員会の議決事項としては、定款の変更、理事・監事・会計監査人の選任および解任、理事・監事の報酬の決定などがあります。

 社会福祉法人改革後は、理事や監事の義務と責任が法律上規程されます。このことをうけて、理事や監事の受け手がいなくなるのではないかという新たな懸念事項が出てまいります。

 一般企業では役員賠償保険という保険があり、役員個人に株主などから損害賠償請求がなされて、それが認められた場合に、役員個人に代わり保険会社がその賠償額を支払ってくれます。そのようにして、企業は役員の業務執行上の賠償リスクを保険に転嫁しています。

 それと同じような考え方がこのたびの社会福祉法人改革にもあてはまると考えられます。現在、弊社にも全国の多くの社会福祉法人の方々から、理事や監事個人に賠償を求められるような事態に陥った際の対処法についてご相談を寄せられることが多くなってまいりました。社会福祉法人改革に備えた理事・監事・評議員の方々へのリスクマネジメントノウハウも、ご紹介できる保険商品も弊社にはございますので、ぜひ、ご相談ください。

2016.06.08