外は台風、中は火事。
9月9日深夜3時頃、関東に台風15号が上陸しました。前日から公共機関は計画運休などを実施し、関東の保育園の園長先生は自分の園の近くに前日の夜から待機をして備えているというお話も聞きました。
9月9日深夜3時頃は子どもと二人で就寝中でしたが、火災報知機の大きな音で私も子どもも目を覚ましました。まさかの「火事です!火事です!安全な場所に避難してください!」というアナウンスとともにサイレンがマンションの館内に鳴り響きます。緊急事態だと認識するためにまず人は一度部屋から出てあたりを見渡します。私もそうしました。そして火や煙がないか確認・・・。火や煙を実際にみないとなかなか人は動きません。これは正常性バイアス(自分にとって都合の悪い情報を無視したり、過小評価したりしてしまう人の特性のこと)というものが働いているからです。「誤報かも!」とマンションの住民みなが思ったことと思います。
とにかく、子どもの手を握り、携帯電話と鍵だけ持って非常階段を下りました。そのときに、「5階の人が間違えて押して、誤報らしいよ!」と言っているおじさんがいましたが、とにかく急いで1階のエントランスに下りました。「だって、そんな確証ないこと信じられない!」と思いながら・・・しかし、外はちょうど台風上陸で激しい横殴りの雨に、暴風で木が折れ道路に横たわっていました。
そんな状態で建物の外に避難はできず、エントランスでマンションの住民の半数以下の方々と消防が到着するのは待つことになりました。しかし30分経っても消防が着ません。管理組合の方が、5階の様子を見に行ってくださり、火災報知機の誤作動ということで、詳細がわかったら改めて館内放送をしてくださることになりました。
その後、消防が到着し、火災報知機の誤作動ということで落ち着きました。子どもは、保育園で日ごろから避難訓練を行っているので、口を手でおさえて逃げていました。「かじ?じしん?にげろにげろー!」と言い、少し楽しそうに一緒に逃げてくれました。
これが本当の火事だったら、エントランスに非難してきた住民は全住民の半数以下・・・ということは全住民の半数以上の方々が逃げ遅れていたということになります。「大きく騒いで小さく収めること=危険を感じて騒いで逃げたけど結局何の異常もなかった」危機管理はこれでいいのだと常日頃からオフィスでも聞かされ、みなさまにも同じようにアドバイスをしております。しかしなかなかそれができないのが人間です。
職員さんが一人ひとりが正常性バイアスから逃れられたら、子どもの命も守れるのではないかと思います。そんなことを思って深夜に台風の風を子どもと眺めておりました。