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毒のないアーモンドの作り方

毒のないアーモンドの作り方

 今回は最近読んだ本『銃・病原菌・鉄(上)』ジャレド・ダイアモンド著(草思社文庫)から、興味深かった内容をご紹介いたします。

 みなさんはアーモンドは好きですか?私は好きです。今アイギスでは空前のボディメイクブームが来ています。どの料理がタンパク質が多いなど、これまでは考えられなかった何とも健康志向な話題が飛び交っています。

 アーモンドはビタミンやミネラルが豊富で、小腹が空いた時にはぴったりです。特にハニーやメープル味のアーモンドが好きで(ボディメイク的には素焼きが本当はいいそうですが)、食べすぎないように気を付けながら食しています。

 そんなアーモンド、野生の状態では毒があるのを皆さんはご存知ですか?今私達がアーモンドを食べることができるのは、毒のあるアーモンドの中に、稀に毒のないアーモンドがあって、それを人間が交配させて品種を作ったからなのです。先日、新聞で「水不足によりアーモンドが高値」という見出しがあったことを脇が教えてくれました。みなさんがよく知っているアーモンドの状態にするのに、1粒あたり2リットルの水が必要で、水不足によりアーモンドが出荷できないというのです。アーモンドについて驚かされることが多いこの頃。

 私はこのアーモンドの一連の話を自宅で夫にしました。

 「毒のないアーモンドの中の、ちょっと変わったアーモンドを大事に育てるから人間にとっていいことがあったなんて、なんだか人を育てることに似ているね。」私は言いました。集団の中でみんなと違う行動をする子どもや、考え方が異なる部分も大切に伸ばせば「その子らしさ」となることを示唆したつもりでした。

 すると夫はこう言いました。「僕は人間はアーモンドじゃないから、完全に毒を取り除くことは必要ないな、と思ったよ。」

 私は思わず唸ってしまいました。私は「毒のない」アーモンドを前提に考えていましたが、夫は「毒のある」アーモンドについても、その毒は場合によって取り除く必要はないから、それがアーモンドらしさになり、アーモンドという品種の特徴になる、と思ったそうです。すなわち、『毒を抜いてみんな画一的な「いい子」にする必要があるのか。』ということだったようです。

 

 みなさまはこのアーモンドの話を聞いて、また私や夫の考えを聞いてどのようにお感じになられたでしょうか。この「アーモンド論争」(決して争ってはいませんが)は身近な人と話し合ってみると、大変興味深い答えが返ってくることもあると思います。ぜひ園の中でアイスブレイクの話題として、職員のみなさまに投げかけてみてください。そして、その内容を教えていただきたいです。「保育」というもの、「集団」というもの、「個人」や「個性」というものをどのように考えているか、はたまた全く違う視点が出てくるのか、チームビルティングやチームマネジメントの中で、役立つヒントが飛び出す可能性を秘めている話題だと思うのです。

2021.09.21