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悪の発信者にならない

悪の発信者にならない

 礼儀に反することは、見ても、聞いても、言っても、行ってもいけない。よいことだけを吸収し、実行するようにしなさい。

 この言葉は、孔子が弟子から「仁とはなんですか?」と問われて答えた事柄に書かれています。その締めくくりが、克己復礼(私情や私欲に打ち勝って、社会の規範や礼儀にかなった行いをすること)を実践していくことのポイントを述べた言葉です。

 悪いことは、いいこと以上に、周囲の人に与える影響が大きい、例えば会社でも「トップが毎回遅刻をしているとそこの従業員全員が遅刻するようになる」なんてことになりかねません。下の者は上の者の真似をするものなので、上司は悪い感化作用をおよばさないよう、注意する必要がある。と記されています。 ~論語、解釈より~

※仁とは、他人を大切に思い,いつくしむ感情

 これを読んで私は「では上司という立場の人は悪の発信者にならぬよう気をつけなければならないのだな」と思いますが、もし自身の上司が悪の発信者になっているのなら、その人を反面教師として自身が気を付けていけばよいのかなとも思います。この人も〇〇をやっているのだから私も良いだろうと人は周りを見てそのように自身の行いも変えていくものだと思います。

 しかし、悪いこと、良くないことを周りに乗っかってやってしまってよいものでしょうか。どのような行いをするかは自身の人間性の問題に関わってきます。そして、上司もしくは使用者と部下もしくは労働者とでは、立場が違います。上司が〇〇をしているから私もやっていいのだろうと安易に考えている人は、まず立場も考えたほうが良いのかもしれません。

 1990年代に流行ったお台場の所轄署が舞台の刑事ドラマの中に出てくるおじいちゃん刑事が新米刑事にこんなことを言っていました「正しいことをしたかったら偉くなれ」この言葉は、いろんな解釈ができます。

 「上の不正を正したければ出世して偉くなれ」もしくは「自分を認めてほしければ仕事で結果をだせ」もしくは「上に自分の意見を通したければ言い訳や文句を言わずにまずは言われたことを受け止めて、実行しろ」と言ったところではないでしょうか。

 今回孔子のお言葉は、私が思ったことを伝えたいのではないかもしれませんが、私は上司と部下どちらの立場でもあるので、そのどちらの立場からも考えてみました。

 

2022.02.22