事故・トラブル最前線

事故・トラブル最前線これからの時代の園経営や
危機管理の在り方を専門家が語る

最近気になること

保育士不足で死亡事故発生 トム・インターナショナル・スクールが破産決定

保育士不足で死亡事故発生 トム・インターナショナル・スクールが破産決定

 (有)トム・インターナショナル・スクールは5月11日、東京地裁より破産開始決定を受けた。負債は現在調査中。

 0歳児から幼児までを対象とした保育園、幼児英語教室、英会話スクールを事業展開。保育園事業では「トム保育園」として0歳からのバイリンガル教育として大卒外国人講師が教育に携わり、一時は都内でも保育所不足の環境もあり、認可外保育施設として人気を得ていた。

 しかし、保育園事業において東京都福祉保健局から有資格者の配置不足および保育室の面積不足を指摘されていたが、改善勧告に従わず、平成27年2月には保育施設としての基準遵守に対する理解や意欲が乏しいとして東京都から再度の勧告を受け、改善が図られない状態が続いてきた。こうしたなか、平成27年2月5日、保育園内で2歳児の死亡事故が発生し信用を大きく失墜。事業継続は難しくなり、以降、運営を休止していた。(東京商工リサーチ 5月18日)

 ある証券会社が保育関連株への投資判断レポートで、リスク要因として挙げられている項目の中に、「食中毒や重大な事故が発生した場合」というものがあります。保育事業において、重大な事故というのは最大リスク要因なのです。保育施設の運営主体が株式会社の場合、事例のように倒産してしまうようなリスクです。

 これが公立や社会福祉法人の場合、倒産という可能性はないのかもしれませんが、社会の一般常識としては、重大事故が倒産にまでつながりうるのです。

 今後、待機児童が存在する保育施設に対する需要過多の状況から、供給過多の状況に必ずなると考えられます。そうなった場合、社会福祉法人が運営する保育施設でも重大事故が発生し、対応に失敗したら廃業という可能性も出てくると思います。安全体制は一朝一夕ではできません。今から、着実に積み上げていってください。

2016.05.27