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水遊び 監視体制2割が不備

水遊び 監視体制2割が不備

 約2割の幼稚園・保育所・認定こども園で、プール活動や水遊びの監視体制や訓練に不備があることが、消費者庁の消費者安全調査委員会の実態調査で分かった。
 プール活動を巡っては、2011年7月に神奈川県大和市の幼稚園で当時3歳の男児が水死し、同委員会が14年、再発防止策を盛り込んだ報告書を公表。安全対策の徹底を要請していた。今回の調査結果を基に、文部科学省や厚生労働省などの関係省庁に改めて再発防止策の周知を求めた。

 調査は、プール活動や水遊びが本格化する季節を前に、4~5月に全国から抽出した412カ所を対象にアンケートを実施。373カ所から回答を得た。
 14年の報告書に記した安全対策の意見のうち、4点について実施しているかどうかを尋ねたところ、すべて実施していると回答したのは82%にとどまった。「監視者と指導者を分けて配置し、役割分担を明確にしているか」を尋ねた質問では、9%がしていないと回答し、監視体制に空白が生じる恐れがあった。また、「プール活動に関わる教職員に対し、見落としがちなリスクやポイントの事前教育を十分にしているか」の質問では、5%が実施していなかった。「教職員に対し、心肺蘇生をはじめとする応急手当てについて教育し、緊急事態への対応を整理して共有、訓練しているか」では、していないとの回答が10%に達した。十分な監視体制を取れない理由を「人件費の余裕がない」と回答した施設もあったという。(毎日新聞2016年6月5日)

アイギスブログでも何度か水遊びについては記事をあげてきましたが、上記の調査結果が記事としてこの時期にでるということは、全国の保育施設でのプール活動や水遊びの事故に関して注目が集まっているからだと言えます。

14年の報告書に記した安全対策の意見をそのまま載せてみました。

1. 文部科学省、厚生労働省及び内閣府は、幼稚園等でのプール活動・水遊びに関し、次の(1)及び(2)の措置を講じるよう地方公共団体及び関係団体に 求めるべきである。

(1) プール活動・水遊びを行う場合は、適切な監視・指導体制の確保と緊急 時への備えとして次のことを行うよう幼稚園等に対して周知徹底を図る。 また、既にこれらの取組を行っている幼稚園等に対しては、再度、周知徹底を図る。

① プール活動・水遊びを行う場合は、監視体制の空白が生じないように専ら監視を行う者とプール指導等を行う者を分けて配置し、また、その 役割分担を明確にする。

② 事故を未然に防止するため、プール活動に関わる教職員に対して、幼児のプール活動・水遊びの監視を行う際に見落としがちなリスクや注意 すべきポイントについて事前教育を十分に行う。

③ 教職員に対して、心肺蘇生を始めとした応急手当等について教育の場を設ける。また、一刻を争う状況にも対処できるように 119 番通報を含め緊急事態への対応を整理し共有しておくとともに、緊急時にそれらの知識や技術を実践することができるように日常において訓練を行う。

(2) 幼稚園等への啓発を通じて、プール活動・水遊びを行う場合に、幼児の安全を最優先するという認識を管理者・職員が日頃から共有するなど、 幼稚園等における自発的な安全への取組を促す。

2. 文部科学省、厚生労働省及び内閣府は、幼稚園等で発生したプール活動・ 水遊びにおける重大な事故について、類似事故の再発防止のために、幼稚園等に対して事故情報の共有を図るべきである。

 

 みなさんの園では、上記の安全対策に関することはすべてクリアになっていますか?クリアになっていて今年のプール活動や水遊びを実施するのであればいいのですが、報告書の存在すら知らない、読んでいない、やらなくてはいけないなんて知らなかったでは済みません。

 みなさんの業界に関わる重要な報告書が2年前にでているわけですから、今一度自園のプール活動や水遊びの安全対策に不備がないか見直してみましょう。上記安全対策はすべて実施しているかという消費者安全調査委員会の調査結果は、実施しているという回答が本来100%でないと意味がありません。

2016.06.06