事故・トラブル最前線

事故・トラブル最前線これからの時代の園経営や
危機管理の在り方を専門家が語る

最近気になること

待機児童5.5%増加

待機児童5.5%増加

 認可保育所などへの入所を希望しながら入れない「待機児童」について、読売新聞が全国の主要自治体に今年4月現在の状況を調査したところ、回答した68市区のうち7割にあたる48市区で待機児童が解消されていないことがわかった。

 人数は計8458人と、昨春より439人(5.5%)増えていた。政府は保育の受け皿を50万人分増やし、2017年度末の待機児童解消を掲げるが、48市区のうち27市区は、17年度までの解消が見通せないと回答した。

 本紙の調査は、共働きなど保育の利用希望が多いとみられる東京23区と20政令市、県庁所在地の計74市区を対象に行った。(読売新聞 2016年6月6日)

 待機児童の減少には、まだまだ歯止めがかかっていない統計が出ました。この統計を裏返してみると、68市区のうち48市区で待機児童が解消されていないのですが、20市区は解消されています。また、利用希望が多いであろうということで選定された地区は74に過ぎません。

 待機児童が解消されない市区は大変だと思いますが、この問題は次のステップに進みつつあると私どもは考えます。日本全体の多くの市区町村で起こりつつある次なる問題は、保育施設の定員割れ問題です。このまま少子高齢化にともなう人口減少が進むと保育を利用したい園児(保護者)と保育施設の需給バランスが逆転します。つまり、廃業する保育施設がじわじわ出てくるというわけです。

 待機児童があふれ、保育施設整備が遅れたのは、行政がこの問題に取り組むタイミングが遅かったためです。顕在化する前に綿密かつ丁寧な対応をしていれば、市川市や練馬区のような反対運動に振り回されることはなかったと思います。これと同様に保育施設が定員割れしはじめてから、対応を始めると利用者にも施設運営者にも迷惑がかかることを繰り返すと思います。

 問題解決は、早めの問題発見により、必要な時間も短く手間もかからなくするようにできます。予想される問題には、早めの対応を心がけましょう。

2016.06.10