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保育ロボットの実証実験。

保育ロボットの実証実験。

 保育や介護、情報通信技術(ICT)を主事業とする「グローバルブリッヂホールディングス」(東京都墨田区)は、太田市の保育園で10月に保育ロボットの実証実験を始める。ロボットは同社のグループ会社「ソーシャルソリューションズ」(同)が群馬大と共同開発した。園児の登園、退園の時間記録を自動的に管理するほか、昼寝中の健康管理を行い、異常を確認した場合は即座に情報発信する機能などを持つ。

 同社は東京や千葉、大阪で計40カ所の保育施設を運営している。保育ロボットの名称は「VIVO(ビーボ)」で、クマをモチーフに高さ約70センチ、重さ約12キロ。太田市在住のデザイナー、片岡達也さん(44)がデザインを担当した。首や手は動かせるが、歩くことはできず、耳のスピーカーから「おはよう」などの簡単な音声を流すことができるという。

 保育ロボットは、与えられたキーホルダーを持つ園児や保護者が近づくと個人を特定し、登園と退園の時間記録を管理するほか、園児が近づくとサーモグラフィーで体温を測る機能がある。さらに、昼寝時には布団の下に敷いたセンサーで園児の心拍を把握し、呼吸の乱れやうつぶせ寝などの異常が確認された場合は、即座に保育士が持つタブレット端末が点滅し、異常を知らせる。同社によると、ロボット1台で園児30人分をチェックできるという。

 実証実験は太田市新田中江田町の木崎あおぞら保育園(旧新田第一保育園)で行われる。

 グローバルブリッヂホールディングスの貞松成(じょう)社長(36)は「保育士は昼寝の時に1人で6人の園児を見るが、園児が1人起きたら他の園児にはなかなか目が届かない。そういう場合は、休憩中の保育士に来てもらったりしているが、このロボットがあれば、保育士の負担が減るほか、労務改善にもつながる」と話し、早期の実用化を目指している。(2017年9月19日産経新聞)

 ICT化が進む世の中です。保育ロボットの実証実験がうまくいけば、保育ロボット導入専用の補助金が国から出るかもしれません。保育所等における業務効率化推進事業に当てはまれば、補助金がすんなりおりるかもしれません。

 しかし、便利なロボットに慣れて頼りすぎたら、人間は後退していきます。人間から考えること、基本的動作を奪っていくのがシステムです。前回のブログでもお話ししたようにシステムに慣れ過ぎるとアナログに戻すのは容易なことではありません。園児たちもシステムに慣れ過ぎている生活を送っていると思います。

 自動水洗だと、トイレで用を足したあとに、自動水洗でないトイレで流し忘れたなんてことは、今の子どもたちはたくさんあるようです。子どもたちでなく、職員さんもトイレを流していなくて困るということを園長先生から聞いたことがあります。

 「保育ロボットが子どもたちの異常を教えてくれるから大丈夫」とたかをくくっていたら、「ロボットが異常を教えてくれなかったから、園児が死にました」ということになりかねませんが、そのような言い訳は通用しません。どこまでシステムに頼り、システムを導入して、システムのリスクとどうつきあっていくのかまで考えて運用していく必要があります。そういった点で今回の保育ロボットの実証実験の結果がどうなるのか動向をまたブログで書きたいと思います。

2017.09.25