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積み上げ100年、崩壊一瞬

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三菱マテ系不正 「日本のものづくり」不信に拍車

 三菱マテリアルの子会社(三菱電線工業、三菱伸銅、三菱アルミニウム)が自動車や航空機向けなどに出荷した素材製品の検査データを書き換えていた問題は、出荷先が274社と広範囲に及んだ。神戸製鋼所に続く品質データ改ざんで、改めて日本のものづくりのあり方が問われそうだ。

 問題の三菱マテリアル子会社3社が扱う素材は鉄道車両や航空機、自動車などに幅広く使われており、取引先各社は不適合品の使用状況や安全性の確認に追われている。相次ぐ「品質偽装」が日本のものづくりへの信用低下に拍車をかける事態となっている。(2017年11月24日 毎日新聞)

 今、企業のデータ改ざんが次々に明らかになっています。11月28日には、経団連会長の出身企業である東レの子会社もデータ改ざんし、それが発覚してから1年以上隠蔽していたことが判明いたしました。

 こういった問題は大きな範囲では、コンプラインスの問題と言えます。コンプライアンス違反問題は、意図的に行われるので、悪質です。それゆえ、そのことが世間に知れ渡ると、企業の信用が大きく揺らぎます。

 そこで、今週は「信用」について考えてみましょう。たとえば、三菱アルミニウムの設立は1962年で今年55年を迎えます。神戸製鋼は1905年の設立なので、今年でなんと112年です。

 企業寿命は一般的に50年といわれているなかで、両社はそれを上回り、現在も存続しています。なぜ、両社はこんなにも長く生き残ったのでしょうか。それは、両社の商品を選ぶ顧客がいたからです。つまり、両社とも顧客から選ばれ続けたこそ、生き残っているのです。

 顧客から選ばれることこそ、企業の「信用」なのですが、両社は、その信用を自ら傷つけたのです。データ改ざんは、まさに自殺行為です。企業の内部からみても、両社が長い時間、顧客に選ばれ続ける努力をしたのは、長い歴史の中で働いてきた従業員です。

 つまり、両社の信用は、内外の従業員と顧客の何人もの人たちが、長い時間をかけて築き上げてきたものなのです。しかし、今回の事件で両社の信用は地に落ちてしまいました。一部の人間の意図的な行為によって崩壊したのです。

 保育も保護者と職員の信用で成り立っていると思います。この信用も長い時間をかけて、たくさんの人たちが築き上げてきたものなのです。それを職員の虐待や飲酒運転、ドラッグなどの意図的に行うコンプライアンス違反で、施設の信用が崩壊することがあります。

 意図的に生じる問題は、意図的に予防できます。「他人のふり見てわがふり直せ」といいます。産業界がざわついているのは他人事ではないのです。ぜひ、気を引き締めてください。

2017.12.01