これは未来予想図です
"待機児童の受け皿"閉鎖へ 西鉄の認可外保育園 競争激しく利用者減
認可保育園へ入れない待機児童が問題となる中、その受け皿が年度の途中に閉鎖されます。
西鉄は、運営する認可外保育園を閉園し、保育事業から撤退することを決めました。
閉園するのは福岡市中央区の薬院や平尾などで、西鉄が運営する3つの認可外保育園です。
西鉄によりますと、ピーク時には利用者が年間9千人ほどいましたが、近隣に新しい保育園が開園した結果、昨年度はおよそ7千人に落ち込んでいました。
このため西鉄は「今後も収支状況の回復が見込めない」として、来年2月末で保育事業から撤退すると言うことです。
福岡市には9月1日時点で394人の待機児童がいますが、市によりますと認可外の保育園は立地や保育料、設備などで競争が激しく、経営悪化から閉園することはめずらしくないということです。(2017年11月30日 テレビ西日本)
企業の経営目的は、利益を最大限にすることです。しかし、保育という事業は労働集約型なので、利益を出すことは簡単ではありません。
しかも、保育士の確保も難しく、保育自体も無償化の動きが出ているので、「タダになるかもしれないものにお金を支払うなんて」という心理が働くので、保育料を高めに設定することもできません。それゆえ、なかなか保育の激戦区では園児の確保が難しくなります。
そのような状況になると、企業は利益を確保するのが難しくなるので、保育事業から撤退します。
現在、企業が運営する保育施設が年々増えつつあります。それも、待機児童が多い都市部に集中します。しかしながら、今後、人口減少の影響で園児も減少します。
園児が減少して、保育施設の運営が難しくなるのは、過疎化が進んでいた地方部のような気がしますが、そもそも保育施設が集中していた都市部の方が競争は激化するでしょう。
社会福祉事業を営利事業化するのは至難の業です。今回の西鉄の保育事業撤退は、未来予想図だと考えられます。保育の需給バランスが壊れるとともに保育に参入した企業は一斉に撤退することが予想されます。それまで、淘汰されずに社会福祉法人が生き残れるかが、大きな鍵になるように思えてなりません。