保護者がホッとする保育士さんの10.5秒のやさしさ。
アイギスの研修で昔からお話ししている保護者のクレームの話があります。クレーマーは天然のクレーマーと養殖のクレーマーがいます、というお話しです。どういうことなのかというと、天然のクレーマーというのは生まれつきのクレーマーで周りがどう対応しようとしても性格なので、クレームを言われる側は、それを受け入れるしかありません。
一方、養殖のクレーマーは、保育現場の先生たちが、先生たちの日頃の対応で育て上げてしまっているクレーマーのことを言います。ということは、養殖のクレーマーは先生たちの日頃の対応でなんとかできるというお話しです。
私も毎日3歳の子どもを保育園に預ける母親でもあります。先週こんなことがありました。朝、イヤイヤが激しく余裕がなかった私は強く子どもを怒ってしまいました。子どもは朝から大泣きで、泣いたあとは私から離れようとしません。案の定、保育園に連れて行っても私から離れようとせず・・・受け入れの先生に「朝強く怒ってしまったのでなかなか離れないんだと思います。というと先生が「じゃあ、ママと10秒間ギュッとしていってらっしゃいしようね」と言ってくださいました。
朝の受け入れで忙しいと思った私は、早口で「1,2,3!」と数えようとしてたら、先生は「いーち、にーい、さーん」とゆっくり数えてくれました。ゆっくり数えてくれたおかげで10.5秒間子どもを抱きしめることができました。
子どもは離れるときはやっぱり泣いていましたが、朝の先生のその10.5秒のやさしさのおかげで、母親である私がどんなに救われたことか。子どもを朝から余裕なく怒ってしまった後悔とぐずらせたまま保育園に預けにきた後ろめたさの気持ちが先生のおかげで和らぎました。
今日も一日子どものために頑張ろうという気になりました。ここまで保護者が思っているなんてことは先生は夢にも思っていないかもしれません。ですが、先生からの言葉は良くも悪くも保護者に影響するものだと感じました。養殖のクレーマーを育てるか育たせないかは先生たちのほんのちょっとの気持ちの対応の差なのかもしれません。