保育の質を担保するのは誰の役目?
保育施設への自治体立ち入り 3分の1実施せず
2016年度に自治体による立ち入り調査を受けた保育施設が、対象施設の65%にとどまることが読売新聞の調査でわかった。
国は児童福祉法などに基づき、自治体に原則、年1回以上の立ち入りを求めている。待機児童解消のため保育施設が急増する一方、子どもの安全や保育の質を担保するチェックが不十分な実態が明らかになった。
自治体への調査は17年11月から今月にかけ、立ち入りや改善指導の権限を持つ47都道府県と20政令市、48中核市に実施し、計115自治体すべてが回答した。
その結果、各自治体が対象とする計約3万4000か所の施設のうち、立ち入りを受けていたのは約2万2000か所で、3分の1が未実施だった。保育施設は国の基準を満たしている認可保育所と、それ以外の認可外施設に大別される。立ち入りの実施割合は、認可が65%と、認可外の64%より、わずかに高かった。(2018年1月8日 読売新聞)
このブログでもときどき、「保育の質=行政の質」と申し上げてきましたが、今回の読売新聞の記事で「やっぱりな」という感情が湧き上がってきました。
行政側からすると、雨後のたけのこのように保育施設が増えてきているのに、立ち入り調査をする人員はそれほど増えていないので、仕方ないのではないか。という言い分はあると思いますし、それは理解というか同情します。
昨年、日産自動車の検査不正問題がありました。完成した自動車を資格をもたない従業員が検査し、出荷していたという不正です。今回の記事は、この不正問題と本質的には同じなのではないでしょうか。
保育施設に立ち入り調査をする人員が行政で不足しているのであれば、制度を変える必要があると思います。姫路市に認可を取り消された「わんずまざー保育園」問題でも、行政の立ち入り調査は2年間行われていませんでした。今回のような状況を放置すれば、わんずまざー問題と同様の問題が発生するのは時間の問題でしょう。
今後、企業主導型保育施設もどんどん整備され、調査対象はますます増えていくことが予測されます。保育施設が整備された後の行政による管理方法、保育士不足を解消する根本的な政策などは、保育無償化よりも先に検討し、実行すべき課題だと思います。
行政側の体制が整わない限り、保育の質の議論は時期尚早だと思います。