「安全」に近道なし
乳幼児突然死 アラームで防げる? 購入補助 学会が反対意見
「うつぶせ寝」などによる乳幼児の事故防止対策として、厚生労働省が計画している警告装置の購入費補助に対し、小児科医らの学会が反対の意見書を提出したことがわかった。米食品医薬品局(FDA)は予防効果はないと警告しており、専門家は「効果の検証もなく公的補助をするのは問題」としている。
厚労省が導入を予定しているのは、乳幼児突然死などの事故防止対策製品の購入を国と自治体が保育所などに補助する事業。費用として、今年度補正予算案に約3億円を計上した。
補助対象は、乳幼児の呼吸や心肺の動きを監視して、異常があれば音やランプで警告する「無呼吸アラーム」など。ただ、反対している日本SIDS(乳幼児突然死症候群)・乳幼児突然死予防医学会(市川光太郎理事長)によると、無呼吸アラームの突然死防止効果は確認されていない。
同医学会理事の中川聡・国立成育医療研究センター集中治療科医長は「補助により、アラームを導入しないと安全対策が不十分と保護者が誤解したり、保育士が減らされたりする懸念があり、不適切だ」と指摘する。
厚労省保育課は「製品はあくまで補助的な役割。保育士による安全確認が手薄にならないよう注意喚起を徹底したい」としている。(2018年1月27日 ヨミドクター)
危機管理に近道はありません。これは私どもが事故現場で事故の発生原因を分析してきて実感していることです。つまり、お金で何か道具やシステムを購入したら、安全になるということはありえないということです。
そういう意味では、各学会から出ている反対意見は正しいと思います。装置があることで、現場の職員の意識が薄れ、園児から目を離しがちになり、事故が増加するという可能性は否定できません。
しかしながら、厚労省保育課が言っている「製品はあくまでも補完的な役割」ということも正しいと言えます。
これらのことから、来年度、各施設が気をつけなければならないポイントは、装置を購入したあとの現場への導入の仕方だと思います。ただ単に装置を購入し、設置しただけでは、職員の意識が弱まり、装置>職員という装置メインの体制になってしまいます。
「製品はあくまでも補完的な役割」ということを全職員に周知徹底させ、装置<職員となるように職員の意識をコントロールしておく必要があると思います。
安易な対策では、安全は手にはいりません。その点は、いつも脳裏に置いててください。