保育士が「妊娠してすみません」と謝る時代?
結婚して8カ月、今年の1月に妻の妊娠がわかりました。妻は保育士で、とても忙しい園に在籍しているため、不安で浮かない顔をしていました。妻の保育園では、結婚の時期、妊娠の順番まで園長に決められていて、「先輩を追い抜くことは駄目」という暗黙の了解があるようでした。不安な表情の妻を見ていられず、私は妻と一緒に園長先生に頭を下げに行きました。「子どもができてすみません」
園長は渋々認めてくれたものの、翌日から妻に対して「どうして勝手にルールを破るのよ」と、つらい言葉を投げかける日々が続いています。妻は激務の仲間のことを考え、肩身の狭い思いでいます。今回、計画的ではなかった私たちにも非があるのは重々わかっています。しかし子どもを産む順番が決められ、それを守ることは一体誰のためになるのでしょうか......。
保育士は、皆さんが仕事に行っている間、他人の子どもを預かり、親に代わってしつけや作法を教えています。行事のために多くの仕事や作業を家に持ち帰り、時にはサービス残業をして、土、日曜日に働くこともあります。残業代も出ない給料で、やりがいのためだけに他人の子を育てます。
保育士は、自分の子を犠牲にしてまで他人の子どもを育てます。保育士は、日本の将来を担う子を育てる尊い職業です。
私は、そんな妻を尊敬し、応援しています。子どもを育てる職業がこんな環境であるこの国は子育て後進国です。(2018年2月28日毎日新聞)
毎日新聞に上記のような投書が掲載され物議を醸しているのはみなさんもご存知でしょうか。以前、本ブログでも「職員の妊娠問題」についてお話ししましたが、このような記事がでてしまうとただでさえ人手不足なのに、保育士さんのなり手がいなくなりそうですね。
今年のトレンドではないかというくらい弊社にも「職員の妊娠問題」について連日相談が入ってきています。これも人手不足が原因で起きている問題だと思います。園長先生も手放しで喜べないかもしれませんが、ほぼ女性の職場である以上は、職員の妊娠、出産、産休も園のリスクだと考えて覚悟を決めて対応していきましょう。妊娠した職員を責めたら、園のリスクは上記のように拡大します。上記の保育士さんが勤める園の評判は悪くなっていることでしょう。しかもネットの拡散は止めることができません。
今年、みなさまの園で「園長先生、私、妊娠しました」と職員に言われたとしても決して責めることをせずに今後の対応を決めていきましょう。