新社会人応援月間 企画1「自己責任原則強まる」
2030年 全都道府県で人口減 都市部も高齢化進む 医療・介護深刻さ増す
厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所は30日、2045年までの地域別の将来推計人口を公表した。全ての都道府県で30年から人口が減り始め、45年には7割の市区町村で15年に比べ人口が20%以上減る。都市部への人口一極集中も加速しつつあり、インフラなどの面で都市部の経済効率は上がる反面、高齢化に伴う様々な問題が深刻さを増してくる。(2018年3月31日 日経新聞)
今月は、新社会人になったみなさんが、これからの日本社会を生き抜いていくために必要だと考えられることを特集していこうと考えました。今後、自分たちを取り巻く社会環境がどのように変化していくのかを頭の中に入れたうえで、どのように働いていくかを考え、決めていくことが重要だと思います。
まず、初回のテーマは、人口減少の問題です。この問題は、現在、日本の最大の問題です。間違いなく今、国会で騒がれている「モリカケ」問題よりもはるかに大きな問題です。なぜなら、この問題は、日本で生活している以上、関係のない人は存在しないからです。
さて、人口が減るとどのようになるのか?を考えてまいりましょう。そもそも人口はなぜ減るのでしょうか。それは、死亡する人が生まれてくる人よりも多いからです。つまり、高齢者が若年者の数よりも多いからです。要するに高齢化率が高くなった結果、生じる現象です。
高齢化率が高くなると、社会保障制度にゆがみが生じます。われわれに関係する社会保障制度で主なものは、老後の生活資金である「年金」、介護が必要なときに支えとなる「介護保険」、病気になったときに医療機関が安く使える「健康保険」の3つです。
これらの制度で、高齢化率が高くなると、お金を支払う人が少なくなり、使う人が多くなります。このような状態が続くと制度自体が破綻します。現在の日本の社会保障制度はそのような状態にあるのです。
今年、社会人になった方々は、まず、これらの社会保障制度に頼らなくても人生を終えることができる力を身につけなければなりません。そのためには、「自立」と「自律」を社会人として初めのハードルにすべきだと思います。
はじめに「自立」をしなければなりません。自立に必要な要素は、①1人前に仕事ができること(職業上の自立)、②自分の稼ぎで食って行ける(経済上の自立)、③生活に支障がでない健康な体を維持する(肉体上の自立)ができなければ話になりません。
それができたら、次に「自律」です。自律に必要な要素は、自分の歩みたい人生をまっとうするための判断力、行動力を身につけるということです。そのためには、自分なりの「コンプライアンス=倫理」を醸成することです。ただ、ここで大切なことは、反社会的(他人に迷惑をかけるような)な自己満足を追求するためのコンプライアンスは、社会が許してくれませんので、要注意です。
今の日本社会は、やった人とやらなかった人で格差がどんどんつくようになっています。それは、社会がやらなかった人を支えきれなくなってきているからです。そういう意味で自己責任原則が強まっていると考えても良いのではないでしょうか。格差の下で生活しなくて良いように、ぜひ、目先のことだけではなく、人生100年時代を生きなければならない新社会人として、長いスパンで物事を考えてください。