事故・トラブル最前線

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どっちもどっち

どっちもどっち

 先日、焼き鳥屋さんに行った際のお話をしようと思います。話を始める前に、この焼き鳥屋さんは、1階がカウンター席、2階がテーブル席となっています。1階と2階の従業員は別々に配置されています。そして、人気店であるため午後の8時を過ぎると欠品してしまう焼き鳥も出てきます。

 私が、焼き鳥屋さんに行ったのは午後18時を過ぎた頃でした。2階のテーブル席でおいしい焼き鳥とおいしいお酒を飲んで、気持ちよく家路につこうとしたところ、1階から1人のお客さんが2階に上がってきました。このお客さんは私の横のテーブルに案内されました。このお客さんはテーブルに座るなりテーブルをバンバン叩きながら文句を言っていました。どうやら、この焼き鳥屋さんに入店する際に、1階の従業員に本日は既に焼き鳥の欠品があることを説明されていたにもかかわらず、1階の従業員からも2階の従業員からも何が欠品していて、何が注文できるのか説明されていないことにご立腹しているようでした。

 たしかに、焼き鳥屋さんの従業員は焼き鳥の欠品があるのであれば、注文できる焼き鳥を説明すべきです。しかし、このお客さんも注文できる焼き鳥を従業員に聞けば事態は解決できるのですから、まわりのお客さんに迷惑がかかるような形で怒りをあらわにする必要はありません。変なお客さんが入店してしまって、従業員がかわいそうだな、という雰囲気が2階にいる、その他のお客さんの間に流れていました。そして、ご立腹している客さんのところに2階の従業員がオーダーをとりに来ました。ご立腹しているお客さんは何が注文できるか説明すべきだと従業員に詰め寄ります。そうしたところ、従業員は1階と2階の従業員は連絡を取り合っていないので、2階の従業員は1階の従業員がどのような説明をしたのかわからない、だから2階の従業員としては何が注文できるか聞かれるまでは何が注文できるかを説明する必要はない、というようなことを言い返しました。

 2階の従業員のこの対応をみるまでは従業員に同情的だった、店内の雰囲気が、従業員のこの対応をみて、従業員が悪い、店側が悪いという雰囲気に変わってしまいしました。

 施設運営をしていると、クレームを数多くくださる保護者もいらっしゃると思います。そのとき、この保護者がいっていることが常識的でなかった場合、他のまわりの保護者は施設側に同情的な目線を送っていることが多いと思います。しかし、常識的ではないクレームの対応を間違えてしまうと、どっちもどっち、という評価を他の保護者に与えてしまいます。クレーム対応は、クレームをいってきている保護者に対応するというよりも、その他の保護者にどのような印象を与えるのかを考えながらおこなうべきものです。

2018.11.28