今、保育業界にはどこから弾が飛んでくるかわからない
東洋経済新報社に賠償命令 保育園巡る記事で名誉毀損
東洋経済新報社のウェブサイトに保育園の設置認可を不正に取得したとの記事を掲載されたとして、社会福祉法人「どろんこ会」(東京)が損害賠償などを求めた訴訟の判決で、東京地裁は13日、名誉毀損を認め、同社と記事を書いたフリーライターらに330万円を支払うように命じた。記事の一部削除と謝罪広告の掲載も命じた。東洋経済側は東京高裁に控訴した。
同社は2017年3月に「業界4位『どろんこ保育園』の"不都合な真実"偽装工作で認可を取得していたことが判明」との見出しの記事を掲載した。広報担当者は「主張が認められず遺憾。正当な取材に基づいた記事だと考えている」と話した。(2019年2月13日 共同通信)
4月が近づくにつれ、保活の結果が気になる時期になってくるので、保育園関連のニュースがネットを賑わします。そのような中で、「保育園の実態をあばく」みたいな記事もときどき目にします。
内部を暴露するみたいな記事は注目度を集めやすいので、出てくる頻度も高くなってくるのでしょうが、基本的には玉石混合の記事だと思います。
私も保育施設の負の部分(危機管理だから仕方がないのですが)に関する講演だけで、全国からご指名いただきしているのですが、原則的に私は自分の目で見た事故現場の出来事しかお話しません。
しかしながら、私が関わった保育現場での事故がネット記事になったものを見ると、直接見てもいない方々が事実とは異なることをあたかも見てきたような記事にしています。
おそらく、これは2次情報(関係者から聞いた)か、3次情報(関係者から聞いた人から聞いた)みたいな伝言ゲームになっているからだと考えられます。
フリーのライターさんは何かを記事にしなければ仕事にならないという事情はわかるのですが、今週の事例のような記事は対象を大きく傷つける可能性があります。場合によっては、保育施設がつぶれることもあります。
今回の事例では一審判決で出版社側の有罪となっています。でも、控訴しているので、高裁判決ではひっくり返る可能性もあります。裁判所が最終的に出す結論がどちらかはまだわかりませんが、最終的に出版社が勝った場合は、記事になった保育園側の不正が認められたことになります。
現在は、どこから誹謗中傷が園に向けられるかわからない時代です。いつ、誰から名誉を傷つけられるようなことがあっても対応できるような準備と心構えをしておく必要があると思います。
保育施設を利用する方々は、真偽がはっきりしないものに振り回させることなく、情報の精査を十分に行ってから判断してください。
保育施設を運営している方々は、身に覚えのない誹謗中傷がきた場合には、利用者の方々の誤解を解くことを最優先に対応してください。
いずれにしても情報洪水化社会の中で、フェイクニュースみたいなものに自分の人生を狂わされることがないようにすることが大切だと思います。