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最近気になること

なぜ、保育園の大量退職だけが問題になるのか?

なぜ、保育園の大量退職だけが問題になるのか?

中央区の認可保育園に何が起きたのか?

 大量退職が見込まれるのが、ニチイ学館グループ会社が運営する勝どきにある保育園。ニチイ学館側が2016年7月に前の運営会社の株式を取得し、子会社化していた。

 同園の保育士は、現在の18人のうち13人が3月以降に順次退職する予定。看護師や調理員も含めた30人では、16人が退職する見込みになっている。

 退職の理由としては、給与がダウンするなど待遇悪化が進んだり、人手不足で長時間労働が続いたりしたと不満があったことだという。このほかに、もともと3月末で退職する予定だった保育士もいた。(2019年3月13日 JCASTニュース)

特区保育園 職員また大量退職へ

 仙台市が国家戦略特区の活用で整備し2017年4月に開園した保育園で、全職員23人の半数以上が今月末で一斉退職することが19日、関係者への取材でわかった。開園初年度にも職員の半数に当たる12人が退職しており、保護者から「運営に問題があるのではないか」との声が出ている。

 園運営の社会福祉法人によると、退職するのは保育士11人と調理師1人の計12人。複数の保育士が取材に「18年4月に就任した園長を信頼できず、園にいることが苦痛だった」と理由を説明した。(2019年3月20日 河北新報)

 4月に入って園でもあわだたしい毎日を送っていると思いますが、3月末に集中する職員の大量退職問題からは一段落した園の方々もいらっしゃることと思います。

 私は、毎年この時期には、今年も大量退職の時期が終わったなあ。と感慨にふけっているのですが、その一方で、いつも気になることがあります。それは、「どうして保育園の大量退職の問題だけ社会問題として取り上げられるのだろう?」ということです。

 たとえば、これが「近くのコンビニの店員10名のうち、8名が3月末で辞めるという大量退職が起こりました」だったとしたら、ニュースにはならないでしょう。ここに、保育園の特徴があるのです。

 まず、「保育は園児の成長に応じて継続して行われる」という絶対に避けられない現実があります。だから、保護者も「できるだけ自分の子どもの成長を見てきた保育士に見て欲しい」という希望があるのです。これが社会問題化する原因の第1点目です。

 次に、職員の大量退職が起きるような園は、職員同士がギスギスしていて、労働環境すら整っていないだろう。そんな職員間がギズギスしているような環境の園に子どもを預けるのは不安だ。というのが保護者の気持ちであるというのが、原因の第2点目です。

 この2点で社会問題化するのですが、この問題で考えなければならないのは、①辞めた職員の穴を埋めて、新体制が構築できたのか。②毎年、繰り返していないか。の2点です。

 ①については、どうして大量退職者が出たのかという原因を分析するよりも切実な問題です。人数がそろえられなければ、園を継続することはできないからです。

 ②については、毎年繰り返すということは、根本的な原因が発見できておらず、問題解決が図れていない。か、問題解決策が有効ではないか、のどちらかでしょう。

 今、日本社会では人口減少が進んでいます。それは、保育業界にも深刻な影響を及ぼして来るでしょう。そういった中で、保育現場で働く職員が職場の選別を進めています。それが大量退職という現象ですと言っても過言ではないと思います。

 これからの保育施設の選別は、第1ハードルが職員による保育施設の選別。第2ハードルが保護者による保育施設の選別です。この2段階によって保育業界での淘汰が行われるでしょう。

 大量退職が起こるような職員が園を見放す園に将来はあるのか、ないのか、私も興味津々です。

2019.04.12