最近読んだマンガでダントツでためになりました。
タイトルからして近寄りがたい「子供を殺してくださいという親たち」という原作が押川剛さん。漫画は鈴木マサカズさんが書いたマンガに出合いました。
内容は原作者でもある押川さんが実際に経験したことを元に構成されています。押川さんは、"説得"による「精神障害者移送サービス」を日本で初めて創始なされた方で、移送後の自立・就労支援にも携わっています。ジャーナリト・ノンフィクション作家としても活動し、ドキュメンタリーが多数、放映されています。
このマンガの中には崩壊した家族しか出てこず、その家庭で育った子ども(成人以上がほとんど)に精神的な障害が出ており、両親はそのおかげで安心して生活することができなくなり、「自分の子どもを殺してほしいくらいです。なんとかしてください。」と押川さんの会社に相談に来るというところからすべての話は始まっています。
子どもの精神に異常を来たすほどの影響を親が生まれてからずっと与え続けた結果、このような話になるのですが、当人たちはそれに気づいていません。また、子どもの精神に悪影響を与えるパターンはいくつもあるので、すべての話で解決策が異なります。
そして、行政や病院や専門施設も積極的に協力してくれるところは、ごくわずかなので、解決にも手間取ります。そこを押川さんの経験則で何とか最善の状態にもっていこうとするドラマです。
私は、このマンガを読んで、すごくすごく共感した部分があります。マンガに登場する子どもは両親からの悪影響によって精神に異常をきたしているのですが、両親はそれを押川さんに指摘されてもなかなか受け入れません。ときには、依頼自体を断ってしまい、子どもの状態(引きこもりや家庭内暴力など)を放置する方を選択する親も出てきます。私はそういうときの押川さんのやるせない気持ちに深く共感しました。
保育施設の事故現場でも、自分たちが事故やトラブルを引き起こすような保育をしているのにも関わらず、これまでの自分たちの非を認めない、受け入れられない方々が少なからずいます。正直、「こちら側の言うことを受け止めないのであれば、わざわざ呼びつけるなよ」と思うこともしばしばです。
われわれは、事故やトラブルの現場に立ち続けているので、経験則に基づく見通しが立ちます。しかしながら、それを聞き入れもせず、違うと思う。と素人に否定され、自分勝手に行動した結果、自体を悪化させてしまう。ということもままあります。
私どもの会社は、保育施設の方々の変わりに事故やトラブルの対応をするのが仕事ではありません。解決するためのアドバイスをするのが仕事です。ですから、こちら側の言うことを聞いて、判断するのは当事者です。ただ、こちら側のアドバイスには多数の過去の事例という根拠がありますから、それなりに考慮して聞いた方が良いと思います。というだけなのです。
「われわれに依頼したのだから、こちら側の言うとおりにやっていただきます」ということではないのです。
自分の非を認めることは、自ら自分の過去を否定することになるような気がするという気持ちは理解できます。しかし、自分の非を認めなければ、未来を犠牲にしてしまうことがあるのも事実です。
みなさん、自分が窮地に追い詰められているときほど、他人の話には耳を傾けてください。そうした方が明るい未来が待っている可能性が高いと私は考えます。