これが保育業界の近未来!?
「老人福祉・介護事業」の倒産件数が年上半期で過去最多
2019年上半期の「老人福祉・介護事業」倒産は、55件だった。年上半期では2018年同期から2年連続で前年同期を上回り、介護保険法が施行された2000年以降では、年上半期で最多を記録した。
なかでもヘルパー不足が深刻な訪問介護事業者の倒産が急増した。この状況で推移すると2000年以降で年間最多の2017年(111件)を上回る可能性が出てきた。(2019年7月4日 東京商工リサーチ)
この記事は、いわゆる人手不足倒産が介護事業を直撃したかたちになっています。老人介護対象者は、これからますます増加傾向にあるのに、資金やノウハウ、人手が間に合わないために倒産する事業者が増えているという深刻な状態にあります。
でも、これを保育事業に置き換えると、これからは出生数(もはや出産可能年齢の女性が減少しているので出生率の問題ではない)の減少により、保育市場はだんだん縮小すると考えられます。
保育士になる人たちの数も減るでしょうし、離職者は条件の良い他の仕事に奪われる可能性があるので、人手不足と園児不足のダブルパンチが同時に襲い掛かってくることが予想されます。
今でも、企業主導型保育事業は、完成を見る間もなく、助成金詐欺だらけになってきており、施設が完成したところでも閑古鳥が鳴いているところは珍しくありません。
今年の10月の幼児教育保育の無償化によっても園児が増えなければ、相当数の参入者は保育施設の残骸を残したままで、撤退するでしょう。
そして、その波は、地方にある認可保育施設にやがて襲いかかってきます。
そういう環境が予測される今、保育施設を運営している事業者は何をすべきなのでしょうか。それは、内部を固めることです。内部を固めるとは、職員濃度を高めることです。職員濃度とは、一人ひとりの能力の向上です。
「うちの職員は、他の保育園にいったら、全員、主任が務まる」というくらいにまで、職員濃度を高めておくことだと思います。今、すでに職員濃度が高い法人が、施設を増やすことは良いと思います。
逆に、職員濃度が高くないのに施設を増やして、わざわざ職員濃度を低くするのは、愚策だと思います。みなさん、嵐の前に足元を見て運営を考えてください。