園で虐待を受けた園児の保護者の心境。
私が危機管理の仕事を始めて、最初に職員による園児への虐待について相談を受けたのは、2008年のことでした。「午睡中に男性職員が女児の服の中に手を入れて触ってしまったようで保護者から連絡がきた、今後の対応について相談したい」という相談内容でした。
体罰や精神的虐待より性的虐待というのは、繊細な問題です。体罰や精神的な虐待であれば、声を上げて保育園を非難し、他の保護者にも協力を得ようとする保護者はいるでしょうが、性的虐待の場合は声をなかなか上げることができません。被害者である自分の子どもが見世物になる可能性があるからです。となってくると、園としての今後の対応は、とにかく被害園児のケアや保護者の意向に寄り添うことです。
通常の園で起きたトラブルついては、他の保護者に公表し、改善策を構築し、全職員に周知、再指導という流れになりますが、性的虐待の場合は、公表や全職員への周知を望まない保護者がいます。ということは、保護者が何を求めていて、どのように園にしてほしいと思っているのか、聞くことが必要です。そして、どのようなことに不安や不満を思っているのか考えることです。今まで様々な保育園での性的虐待の相談を受けてきましたが、保護者が不安や不満に思っていることは
・子どもが今回の行為をどういうことなのか認識できる前に、忘れてほしい。思い出すことがないようにしてほしい。
・当該職員を辞めさせてほしい、二度と顔をみたくない、子どもにも絶対に接触させないでほしい。
・全職員へ自分の子が被害者だったと周知してほしくない。
・性的虐待が起こってしまう環境の改善をしてほしい
上記のようなことです。以前に職員さんが通勤途中の電車内で痴漢をして逮捕されたという相談も受けたことがあります。そのときの犯行の理由は「間がさした」でした。そして保育園内での性的虐待も「間がさした」という理由でも起こっています。間がさす環境を与えている園側も問題です。
性的なものに関わらず虐待が起こるときは、虐待できる環境が整っているときです。そのような環境でないとみなさまの園ではいえるでしょうか。