徒然草を読む 1
徒然草134段では、「拙きを知らば、何ぞ、やがて退かざる」という記載があります。意味は、つたないと気づいたら、どうして、すぐに退かないのだろうか。いや、ただちに身を退くべきだ。ということです。
これを超訳で読むと、他人のことならわかるのに、自分のことがちっとも見えていない人っているよね。
外見は鏡を見ればわかるし、年齢は数えればわかるはずなのに、立派な人でも、なかなか自分のことは見えないものなのよ。自分が衰えていると気づけばすぐ退くべきでしょ。老いを自覚したら引っ込んで、大人しく静かに暮らせばいいのにね。
求められてもいないのに、厚かましく出しゃばり続けるのは恥ずかしいよね。となります。
ものごとにはすべて始まりがあれば、終わりがあります。これは仕事におけるキャリアでも同じことです。特にキャリアの終わりである引き際は自分で決めなければならないものです。
最近、事故現場に臨場していて感じることは、「この園長(理事長)がいなければ、この問題もここまでややこしくならなかったのになー」とか、「この園長(理事長)がいなければ、この問題自体が起きていないのになー」ということがしばしばあります。
つまり、管理者としての能力年齢が限界を超えているのに、ポストに座り続けている方々が問題を引き起こしているのです。
プロの将棋の世界では、敗者が勝者に「負けました」「ありません」「まいりました」などの言葉で、自らの負けを宣言しなければなりません。すごく、潔いと思います。
それとは逆に、保育業界では、能力年齢が終わっているのに、ポストに居座り、問題を引き起こし、複雑化させ、責任も取らずに居座り続ける潔くない方がしばしばいます。
自分の能力年齢に常に気を配り、自分に最適な引き際を考えておくこともリーダーにとって大切なことだと思います。ちなみに私は今、46歳なのですが、55歳までには会社の社長を後進に譲るつもりです。そのためには、それができる人材の育成と、組織作りが必要不可欠なので、今からコツコツと始めています。
みなさまも、引き際だけは見誤らずにしてください。晩節を汚すのは、最もみっともないことだと思います。