2019年のまとめ③「認識の甘さが目立った1年」
保育士一斉退職の保育園「運営継続可能」浜松市が判断
浜松市西区の私立認可保育園「メロディー保育園」の保育士ら18人が園長らからパワハラなどを受けたとして退職届を出した問題で、市は17日までに、経営を引き継いだ会社の保育士確保策により来年1月以降も同園の運営継続は可能と判断した。市は20、21の両日、同園で保護者説明会を開く。(2019年12月18日 静岡新聞)
歳の瀬も迫ったところで、飛び出した職員の集団離職問題。集団離職自体は別に珍しい問題ではありません。これまで園は運営を引き継ぐ会社も決め、保護者会も開催したようです。
その保護者会の様子が全国ネットのニュースで出回っていますが、集団離職の原因を作ったとされる経営者夫婦は土下座し、同席した若い弁護士も特に何もできないまま、炎上して終わっています。
引き継いだ会社の社長も行政担当者へ説明に行ったり、マスコミにも精力的に出て、インタビューの中でもSNSを通じて、この保育園を助けてくれるよう全国の保育士に呼びかけてほしいというメッセージを発信しています。
これらのことを受け、浜松市が継続可能と判断したようなのですが、どこが継続可能と判断したポイントなのかが、私にはイマイチわかりません。つまり、事態に対する認識が甘すぎるのです。
行政の認識も甘いし、元運営者夫婦の認識も甘いし、弁護士の認識も甘いし、運営を引き継ぐ経営者の認識も甘いのです。ようするに関わっている人たちすべての認識が甘いのです。
職員の集団離職問題は割りとシンプルな問題です。今回は18人辞めるわけですから、18人を速やかに補充し、現場を立て直せばいいのです。
問題は、「それを誰がするのか?」だけです。今回の場合、引き継ぐ会社の社長が覚悟を決めて、手段を選ばず、死に物狂いでやらなければならないのです。
マスコミ対応しているヒマがあるのなら、1人でも多くの職員候補者に会って、面談していくべきです。
年が明けると、集団離職のシーズンに突入します。全国的に2月中旬から3月末にかけて職員は集団離職します。このブログを読んでくださっている先生方の園でも来年は起きるかもしれません。
先週もここで書きましたが、これだけ社会に横の労働市場が整備させると、労働力は自分の理想を求めて移動します。集団離職が起きた問題のある園でわざわざ働こうという酔狂な職員はいないでしょう。
そのため、集団離職が1度でも発生した施設での職員募集は困難を極めます。しかし、ひとたび起きてしまえば、覚悟を決めて、自分の足で探して、補充し、事業を継続するしかないのです。
人間の行動はすべて事態の「認識」から始まります。これを来年のセミナーテーマにして、1年間、セミナー会場で出会った方々に直接伝えて行きたいと考えています。機会がございましたら、ぜひ、直接聞きに来てください。
最後になりましたが、今年1年もみなさまには大変お世話になりました。良いお年をお迎えください。
年末年始くらいは、保育のことも忘れてゆっくりお過ごしください。来年の保育業界は、地獄の年の幕が開きます。それに備えて、ゆっくり体力と気力を充電しておいてください。
地獄の内容は来年1月3日のブログで書きます。