新型コロナウイルス対策で見えてきたこと
昨日から弊社によせられる新型コロナ関連の相談が増えてきました。相談内容も園関係者が感染した(あるいはその可能性がある)ので、どのようにしたらいいかというものに変わりました。園内での新型コロナ感染が日本中で本格的に広まるのも時間の問題という段階なのかもしれません。
さて、今、政府も都庁も他の大都市の知事も毎日、コロナ対策に追われています。
その中心部である厚労省には、感染症対策の専門家はもちろんいますし、データの分析官、解析官などさまざまな分野のトップの専門家が、連日寝ずの対応をしていると思います。その体制には本当に頭が下がります。
でも、その専門家集団の中に危機対応の専門家がいないのが、残念です。
危機対応は、全体の状況を把握し、各専門家の意見を聞き、情報を整理し、優先順位を決めるというのが役割です。
したがって、政府も都庁もこれから書くことができていません。
1.明確な方針が示せていない
新型コロナウイルス対策で守るべきものは、「国民の命」が第一です。しかし、それが目的ではありません。対策の目的は経済活動を通常の状態に戻すことです。経済活動が通常に戻らなければ、遅かれ早かれ、経済的困窮によってウイルスに感染しなくても死亡する人たちが出てきます。「経済活動を通常に戻すためにも2週間経済活動を自粛してください」というメッセージを発信すべきなのです。
2.情報が専門的すぎて伝わらない
先日の都知事の会見後に厚労省に詰めている専門家が現状の分析です。と言って説明していたことが、まったくわかりませんでした。そして、「だから?」という質問しか残りませんでした。専門的データよりも、何をすべきかを伝えるべきです。その根拠が知りたいという人たちが、データを参照すればいいのです。
3.一度に出す情報量が多すぎる
政府も各知事も対策に関する情報量が多すぎ、さらにその内容が抽象的かつ感情的なので、受け取った方が深刻度もわからないし、具体的行動もわからないのです。要するに、シンプルな情報発信になっていないのです。そこかの大学の先生が、「危険なことわからんやつは、とっとと感染しちまえ」とツイッターで発信していましたが、その方がより伝わります。
4.やらないことが確定していない
政府は「これはやりません」。都は「これはやりません」。というようにやらないこと、やらなくてもいいことを発信することも重要です。危機対応の多くの失敗は、やらなくていいムダなことをやって、時間もカネもムダに消費してしまうということがあります。やらないことを決めておくのも重要な過程なのです。
以上のように危機対応はチームによって行います。そこには、指揮者が絶対に必要なのです。指揮者のいないオーケストラが今の政府であり、地方自治体です。これからも素人に右往左往させられると思いますが、われわれはできることをやっていきましょう。