のるか、そるか、それが問題だ!
こんなことは聞かれないと思いますが、もし、「危機管理や危機対応を事故現場以外で学ぶとしたら何から学ぶのがいいのでしょうか?」という質問が来たとします。
その質問に対し、私は、「ゴルフかマージャンでしょうね。」と答えます。ということで、本日はマージャンから学べる危機管理、危機対応のお話をします。
マージャンはゼロサムゲームです。つまり、誰かの点が誰かに流れるだけで、ゲームの中の点数の合計は常に一定です。規定の回数のゲーム数が終わったとき、その点をもっとも多く持っていた人の勝ちというゲームです。
まず、マージャンが弱い人(危機対応がヘタな人)の特徴として、自分の手牌ばかり見ていて、他の3人のプレイヤーの捨て牌を見ない。そして、自分の都合の良い解釈をして、自分勝手に役を作っていくというのがあります。
マージャンは、1牌取って、1牌捨てるというゲームです。その捨て牌がプレイヤーの前にどんどん出てくるわけですが、その場所を河(ホー)といいます。
自分以外のプレイヤーのホーを見て、この人たちには、どのような牌が集まり、どのような役を作っているのだろうか?ということを予測しながら、自分の捨てた牌で他人が上がらないようにするというのが、負けないうち方です。
つまり、ホーとは、場の流れ。ホーを把握するとは、状況を分析し、把握するということです。状況把握が正確にできない人に危機対応はできません。
それが、マージャンから学ぶことができる危機管理や危機対応の基本ですが、もっと根本的なものがあります。それは、状況に応じて、「のるか、そるかを決める」ということです。
「のる」とは、負けるかもしれないけど覚悟を決めて勝負に出る。ということで、「そる」とは、守りに終始し、勝負からは降りるということです。
自分の置かれた状況を判断し、ここは、「のる」場面なのか、「そる」場面なのかを決めてからゲームを進めなければなりません。
さて、本日の本題です。最近の菅内閣は、接待問題でてんやわんやしていますが、接待された人たちが辞職するか、しないかという、のるかそるかの判断が毎日のようになされています。
ここで重要なことは、方針を決めたら「くつがえさない」ということです。
普通に考えてみて、今のご時勢、接待を受けたら辞職しなければならない流れです。
元オリンピック代表選手が不倫疑惑に対して、謝罪しなければならないくらい、社会は細やかなコンプライアンスと清廉潔白な人を求めています。糾弾する側が清廉潔白かどうかは棚に上げて。
そのような中で、「辞任するつもりはありません」と突っぱねる判断をしました。つまり、「のるか、そるか」で「のった」わけです。しかし、世論がざわつくと、「やはり、辞任します」と決定をくつがえします。
これは、信用度を下げますし、そもそも勝負に負けます。
今回のブログで重要なポイントは、大切な判断は、状況がどう変わってもくつがえさなくてもいいような判断を最初からする。ということです。そのくらい状況分析と状況把握をした上で、判断を下さなければならない。というものです。
どうやら関東圏の緊急事態宣言は2週間延長されるようです。何が目的なのか、どうしてそのような判断になるのか見当もつきませんが、とりあえず、そのような判断をなさるようです。
新型コロナウイルス感染症で、日本社会はとても大きなダメージをこうむっています。崩壊しそうなのは、医療機関だけではなく、企業、自治体、家庭、個人などさまざまなものが崩壊寸前だと私は考えています。
このような勝負の緊張度が高まっているときにも、日本の中枢や各自治体のトップは、「のるか、そるか」の判断をせず、とりあえずの判断をまたします。
こんなとき私どもにできることは、「自衛」です。自分を、自分たちの組織を見失わないように、付和雷同の判断を避け、目的をしっかりもって進みましょう。
政治に対する期待を捨てることも重要な要素だと思います。
近いうちにゴルフ編もこのブログに書きますので、興味のある方は、読んでみてください。