9ボール
私が大学生だったとき、世の中では、ビリヤードブームの終わりかけのころでした。
映画「ハスラー2」のトム・クルーズにあこがれて始めた私たち世代は、ビリヤードといえば「9ボール」というゲームでした。
簡単にいうと、台の上にある1から9までの玉のうち、手玉を最小番号に当てて、落としていき、最終的に9番を落とした方の勝ちというゲームです。
うまい人は、1番から順々に落として行き、相手に突かせることなく9番まで落としていきます。でも、たいていの場合は、手玉を強く打ち、それが1番に当たり、8番、9番と当たり、9番が落ちて勝つという「マグレ」によって勝負がつくというパターンでした。
だから、手玉を何番に当てて、その玉をどこのポケットに入れるかを言ってから、打とう。というルールに変えてやっていました。そうすることによって、その人がうまいのか、運がいいマグレなのか。がはっきりわかります。
さて、本日の本題です。第4波と言われている新型コロナウイルス感染症の流行に対して、各地の知事は、「まん防」か、「緊急事態宣言」か、「時短営業要請」かを対策として出しています。
それに対し、市民は慣れてきて、「人流」が少なくならない。その挙句、「今、東京には来ないで」と都知事が言い出す始末です。
なぜ、人流は少なくならないのか。
それは、各地の知事が、いろいろな対策を打ち出すときに、その期待する効果をコールしないからです。
この対策は、感染者を減らすためなのか。重傷者用のベット数がこれ以上埋まらないようにするためなのか。それ以外に狙いがあるのか。
効果をコールし、実行し、狙いが達成できたのかを検証する。目標値を市民に示し、どうしたらその目標を達成できるのかは、市民に考えさせ、協力を促す。という方法を取らないから、政府や都道府県のいうことを聞いてもムダだということになるわけです。
これは、一般組織でも同じです。
みなさんも、何かを組織に命じるときには、狙っている効果は何かをはっきり宣言し、理解させた上で実行して行きましょう。
素人がやる9ボールみたいに、マグレで入っても、説得力を伴いません。ぜひ、実践してみてください。